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Posted by ミリタリーブログ  at 

2010年09月15日

CIAと中央作戦軍 CIA and CENTCOM

CIA秘密作戦部長テネットは、ペンタゴンの中央作戦軍司令部へ向かった。はっきりいっていい気分ではない。理由は簡単で、CIAと軍は、長きにわたり犬猿の仲だからである。

テネットは、今回の作戦もペンタゴンに気づかれずに、こっそり実行し、その成果を大々的に宣伝しようと思っていたのだが、ブッシュ大統領が、中央作戦軍と打合わせて作戦を実行せよ、とのことであるから、フランクス中央作戦軍司令官にアポを取ったのだ。

もっともテネットも、軍と協働する気などない。アフガンに展開する工作員と無人偵察機プレデターを駆使して、タリバンとアルカイダの拠点を攻撃し、テロリストどもを粉砕しようと考えている。中央作戦軍には、そのあとの戦果判定だけやってもらえばよいと思っていた。
テレットは、簡単なボディチェックを受けたあと、フランクス司令官の執務室へ通された。フランクスは不機嫌そうな顔をして座っていた。

「将軍、お忙しいところを・・・」と、テレットが言いかけたが、フランクスは、その言葉を遮るように、「私は、非常に忙しい。なぜなら軍以外の部署が勝手に軍事作戦を計画して、大統領に進言したらからな。」と言った。テネットは、フランクスの態度にムカついたが、名より実を取れと自分に言い聞かせ、「CIAは、諜報機関として、中央作戦軍が必要な情報をすべて提供します」。

テネットのその言葉に、今度はフランクスがムカついた。「すべての情報だと?それならば、アフガンや周辺諸国にある、プレデターの簡易飛行場のために、民間企業の名義で取得した土地のすべての位置を中央軍に教えろ。そこにヘリ部隊を駐留できれば、CIAなど必要ない」。と心の中で怒鳴り、テネットを一瞥した。

その後、両者は形式的な打ち合わせをした。詳細は、各部署の事務方が煮詰めた。その作戦は、
1アフガニスタンに展開しているCIA工作員とグリーベレーを再編成し、(ODA)アフガンに散らばる軍閥に派遣し、それらを懐柔する。
2それらの特殊作戦部隊にELINT(情報戦)の機能を加え、航空機および巡航ミサイルを使ってタリバン軍事施設を攻撃する「従来的な」作戦をおこなう。
とした。

9月17日、ブッシュ大統領は、この作戦を裁可し、中央作戦軍およびCIAに、アフガニスタンに展開する特殊部隊、航空隊および無人偵察機を使って作戦を遂行する「権限」を与えた。さらに、アメリカがやったと分からないようにアルカイダの全世界ネットワークを破壊するという、テネットの提案をすべて裁可した。

少数の特殊部隊しかアフガニスタンへ派遣しないということが明確になったことで、世界は、アメリカはアフガニスタンへは本格的に侵攻しないだろうと思わせた。それはあくまで政権を倒すのであれば、その見方も正しいが、実際にアメリカが最も恐れたのは、19世紀の英植民地時代、20世紀のソ連アフガン侵攻のようになることであった。


次回更新は、9月22日 「無人偵察機プレデター」です。お楽しみに。
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写真は、イメージです。

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Posted by 友清仁  at 08:00Comments(2)Story(物語)