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Posted by ミリタリーブログ  at 

2011年03月23日

タクール・ハーの戦い Takur Ghar 17

アルカイダ司令官ハザラト・アリは、タコツボ陣地の司令部から対空砲がある陣地まで伝令に向かった。アリ自身も先の空爆でわずかに鼓膜が傷ついたせいか、三半規管が麻痺しているようだった。タコツボ陣地を結ぶ狭い塹壕をすばやく移動できなかった。うしろには、アリの腹心たちがぞろぞろとついてきた。

待ち伏せ攻撃ですでにチヌーク2機と数名のアメリカ兵を倒しているがアルカイダも無傷ではなかった。タコツボの周囲には兵士の死体がいくつもあり、塹壕には負傷した兵士が何人もうずくまっていた。

「どけ!道をあけろ!」。アリは怒鳴りながら進んだが、彼らは、手当てを受けていないため、動くことができないようだった。アリは、やむお終えず負傷者を踏みつけて進んだ。いつもの倍の時間をかけて、対空砲陣地までたどり着いた。

「ミサイルは、山頂の対空砲の熱を感知できるか?」。ハーゲンベック将軍は、航空参謀に尋ねた。「3000mの高地で、周りに雪があるくらいです。対空砲の発射熱は十分感知できます」。ハーゲンベックはやや安堵したようで、「上空のF-15に連絡。しばらく対空砲の上を飛び回って遊んでやれ」。

「ヘルファイアミサイル発射・・・・・・・・・。ミサイルは熱源を捕捉。命中まで10秒。9、8、7・・・・」。無人偵察機プレデターのオペレータは、静かに言った。ガルディーズの司令部の全員が、山頂の状況を写すスクリーンを凝視した。

アルカイダ司令官ハザラト・アリは、空に向けて盛んに射撃している対空砲に、「射撃を止めろ。止めるんだ」。と怒鳴った。しかし、対空砲の発射音がすさまじく、射手と装てん手には聞こえないようだった。

アリには、今までの戦闘の経験から、アメリカ軍は対空兵器にはミサイル攻撃をしてくることを知っていた。さらに対空砲に近づき、射手の肩をつかんで、「射撃をやめろ。アメリカ軍のミサイルが飛んでくるぞ」。

アリが怒鳴った瞬間、頭上からヒューンと空気を切り裂く音が聞こえた。見上げると大きな円柱の物体があった。それがアメリカ軍のヘルファイアミサイルだと、アリには分かった。その1秒後、ミサイルは正確に彼の頭上に落下し、体を押しつぶしてしまった。アルカイダ司令官ハザラト・アリに、まさに地獄の大鉄槌が下された。

地獄の大鉄槌が下されたあと、すぐに地獄の業火(ヘルファイア)が山頂を襲った。ミサイルの炸薬燃焼温度は数千度である。落下地点にいた者は、逃げる間もなく焼き尽くされた。

ミサイル着弾の瞬間、セルフ大尉たちは、ずーんと地響きを感じた。そのあと、周りが赤くなったかと思うと、大爆発が起こった。しばらくしてセルフは再び岩場から顔を出すと、対空砲を隠していたボンサイと名づけた大木は、葉や枝が吹っ飛び、黒焦げの幹だけを残していた。落下地点は、ボンサイ以外に燃えるものがなかったせいか、火はなかった。同時に動くものもなかった。

セルフ大尉は、正面のタコツボ陣地を占領するのは今しかないと思い、「突撃!」、とレンジャーに命令した。セルフ大尉らレンジャーたちは、いっせいに岩場を飛び出し、タコツボに向かって走った。

あと20メートルでタコツボにたどり着くかと思ったとき、アルカイダのマシンガンの銃弾がレンジャーたちの足元に跳ねた。地獄の業火の中を生き残ったアルカイダがいたのである。マシンガンの銃声に呼応するかのように他のAKも火を噴いた。多勢に無勢、セルフ大尉たちは、再び岩場に退避せざるを得なかった。

次回更新は、3月30日「タクール・ハーの戦い18」です。おたのしみに。
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Posted by 友清仁  at 07:03Comments(3)Story(物語)