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Posted by ミリタリーブログ  at 

2012年01月18日

タリン・コットの戦い 4 battle of Tarin Kowt

アフガニスタン第2の都市カンダハルから、100台以上の車両で、タリバン部隊がタリン・コットに向かっているという情報に、その場にいた全員が戦慄した。ペティソリー大尉は、直ちにODA574の残りのメンバーをタリン・コットに呼び寄せると当時に、カブールの司令部にも、銃器や弾薬の補給を要請した。

すぐに、武器弾薬を満載したチヌークが飛来し、貨物を下ろした。ODA574のメンバーは、それらをタリン・コットの若者たちに分配し、にわかづくりであるが、防衛軍を組織した。

しかし・・・である。カンダハルから出撃したという一報から、その後のタリバン部隊の足取りがまったく掴めなくなってしまったのである。何ども偵察部隊を派遣し、周囲を偵察させたのだが、100台以上といわれた車両はおろか、一人の兵士も現れないのである。

「また、アフガン人の雑な偵察に振り回されたのか?」。CIAのキャスパーは、半ば呆れながら言った。ジェイスン大尉も、アフガン人の偵察能力の低さを十分に知っているが故に、キャスパーと同じ気持ちなった。

カンダハルを出たのは、タリバン部隊ではなく、単なるコンボイ(民間の輸送業者)とか、都市を捨てて逃げた市民の集団ではないのか・・・?ODA574のメンバーの全員が思うようになった。

とはいえ、警戒して、しすぎることはないので、偵察部隊を絶えず繰り出すと同時に、幹線道路の主要な箇所にクレイモアや見張り台を設置した。

「アメリカ人よ。そんなところに地雷を設置しても意味がないぞ」。クレイモアを仕掛けているペティソリー大尉の背後から、アシモフ大佐が言った。

また、このオヤジはワケの分からんことを言いやがる・・・・ペティソリーは、と思ったが、今までのアシモフの活躍もあったので、「なぜ大佐は、そのように思われるのですか?」と尋ねた。「アフガン兵は、道を通ってこない」。アシモフはそれだけを言うと、背を向けて、その場を離れて行ってしまった。

数日が過ぎた。相変わらずタリバン部隊は現れない。タリバン部隊の襲来の報に、タリン・コットの街も、一時は騒然となったが、再び平穏な日々に戻った。にわかづくりの防衛部隊の若者たちも、最低限の人員を残し、普段の生活に戻った。

再び、警察署の会議室で、「戦略会議」が延々と行われ、別室で待機しているCCTのアレックスなどは、暇をもてあまし、伸びた鼻毛を引っこ抜いている。

そんな中で、カザフ空挺師団アシモフ大佐だけは、南の方角を凝視していた。


次回更新は、1月25日「タリン・コットの戦い」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:00Comments(0)Story(物語)