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Posted by ミリタリーブログ  at 

2012年02月15日

ブラックホーク BlackHawk! 3

ある法執行機関から受けた依頼とは、ある決まった形の装備品ではなく、兵士個人が必要に応じてポーチを取り付けることができ、またその位置を自由に変更できるようなベストやベルトを開発して欲しいというものでした。

当時、CQBやルームクリアリングの戦闘方法が研究され始め、その過程で、集団の中でのチームワークを重視する考えが起こり、チームメンバーの役割を細分化するようになったのです。

そのため、同じ突入チームのメンバーでも、個人によって持ち物が異なり、それに対応するには、一律の既製品ではなく、全く新しいタイプのベストが求められたのです。

この時すでに、ボタンやベルクロなどでポーチなどを自由に配置できるものがありましたが、ボタンが壊れてしまうと機能しなくなったり、簡単に外れてしまったりして、あまり評判がよくありませんでした。私たちは、従来のHやYハーネスに様々な工夫をして、要望に応えようとしましたが、うまくいきませんでした。

たとえば、車両の乗り降りを頻繁に行う兵士は、ピストルやポーチを一列に並べたいと思うし、その一方で、徒歩でパトロールする兵士は、胴体だけでなく足にもいろいろな装備を取り付けたいと思っていたのです。

1つのサンプル作って提出しても、また別の要望が出てきて、それに応えるためには、また初めから考えるといったことが繰り返されました。

幾多の試行錯誤を経て、現在のモールシステムが出来上がりました。このモールシステムにより、兵士個人の要望に応じて自由にポーチを配置でき、さらに多重のモールにより、外れにくい完全なものとなりました。法執行機関の担当者や現場の兵士の絶賛の言葉を、私は未だに忘れることができません。

この法執行機関での成功が、アメリカ軍の装備担当者の目にとまり、モールシステムは、一挙に全軍に配備することになったのです。カラーも黒一色から、タン、OD、さらに寒冷地や山岳地帯仕様まで増えました。

このモールシステムにより、兵士は、従来の何倍もの装備を所持することができ、さらに自分が必要なものを一番使いやすいところに配置することができるようになりました。私は、向こう10年間は、モールシステムに勝る改良は現れないと思います。

我々は、現場の兵士の意見を最優先に考えています。ある時、ハンドガンに装着できるタイプのタクティカルライトが発売されたのですが、ライトが発売されてから6ヶ月経っても、それに対応するホルスターが発売されていない、という、ある法執行機関の方の意見が、当社のカスタマーセンターに届けられました。

私は、すぐに開発部門に命じて、対応するホルスターを制作させました。当時の開発部門責任者は、あまり市場性がないことを理由に開発を渋っていましたが、たった一人の兵士が思っていることでも、それは間違いなく1000人の兵士が思っているに違いないという私の信念を伝え、開発し、発売しました。

ブラックホークでは、様々なことを考慮して、兵士が求めるすべての製品を開発し、外注することなく、すべて自社生産でおこなっています。

数年間の当社の目標は、バラバラになっている製品開発部門の統合と集中です。ブラックホークには、現在、装備品ごとに10のブランドがあります。これらを統合し、より効果的、機能的な装備の開発に取り組んでいく所存です。

注:このインタビューは、2006年12月に行われたものであるため、現在の状況と異なる記述もあることをお断りしておきます。

次回更新は、2月22日「タリン・コットの戦い」です。お楽しみ。
ご意見・ご質問をお待ちしております。


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Posted by 友清仁  at 07:02Comments(2)knowledge base(基礎知識)