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Posted by ミリタリーブログ  at 

2013年02月13日

戦闘終結 Over the war 3

アフガン南部の頭目のシャルザイが、カルザイに帰順したという報は、カブールの司令部を安堵させた。

カブールの懸念は、シャルザイ軍と、カンダハルの主権をめぐって戦闘が起こること、同様に、シャルザイ暗殺により、その部下に動揺が生じ、その動揺が、せっかく降伏したカンダハルにも広がり、再びカンダハルが反旗を翻すことであった。

現地の報告では、一応、街は平穏を保っているようだが、正確なところはわからない。あやふやな状態であることには変わりなかった。

このあやふやな状態を磐石なものにしなければならない。その手段は、タリバンの降伏の調印式を大げさに行うことである。

カブール司令部は、急いで、チヌーク3機を手配し、1機目には調印式を行うステージや照明撮影機材を、2機には、すでに降伏しアメリカ軍に帰順を誓約したタリバン政権幹部数名を、3機目には、マルホールドランド大佐をはじめとする、カブール司令部と撮影スタッフの面々が乗り込んだ。

数時間後、チヌークがカンダハルに着陸した。機内から多数のスタッフが現れ、市内の適当な場所を見つけると、手際よくステージを組み立て始めた。撮影機材のセッティングも行った。

カンダハルの市民は、初めて見るアメリカ人や、その作業する姿を、「いったい何が始まるのだ?」というふうに見ていた。敵対心や敗北感などは微塵も感じられなかった。

カンダハルは、タリバン発祥の地とはいえ、そこに住む市民まで、タリバンの教えで縛っていたのではなく、タリバンは、統治者あるいは秩序維持者として君臨していただけなのかもしれない。また、長い歴史の中で統治者が変わることに慣れている彼らにとっては、略奪や強姦を行わない限り、誰が統治者になろうと、関係がないのかもしれない。

チヌークから、マルホールドランド大佐、クリス少佐が現れ、出迎えたジェイスン大尉を労った。
「ジェイスン・クラフト大尉、よくやった。一時はどうなることかと思ったが、私は、君の力を信じていた。国に帰還したら、必ず勲章が授与されるだろう」。

マルホールドランドの言葉に、ジェイスンの顔に、少し笑みが浮かんだ。別に勲章が嬉しかったわけではない。一瞬だけ、アメリカでの生活の様子が頭に浮かんだからだ。

降伏文書の調印式は、滞りなく進んだ。

ステージの真ん中で、カルザイが再び、カンダハルの攻略を宣言した。その後ろには、タリバン政権の元幹部たちが並んでいる。

カルザイは振り返ると、元幹部たちに、降伏を申し出た勇気を称え、共に国を作ってゆく旨の言葉をかけた。調印文書を高らかに読み上げると、まず自分が署名し、ついで副官のシャルザイが署名した。

調印文書が元幹部に回ると、彼らは、順番に署名し、降伏が成立したことを宣言した。この様子を、アメリカ軍の撮影クルーが克明に記録し、編集を終えると、CNNなどに一斉に配信した。もちろん、心理作戦軍のC130にも音声が送られ、アフガンのラジオで、その声明、これからの指針などが放送された。

アフガンの人々は、タリバンの世が終わり、新しい時代が来ることを知った。


来週は、ちょっとお休みをいただきます。
次回更新は、2月27日 「アフガンに展開したODAについて」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:00Comments(2)Story(物語)