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Posted by ミリタリーブログ  at 

2013年06月05日

CIA長官 レオン・パネッタ  Leon Panetta

バージニア州 ラングレー 2010年12月7日、現地時間6時45分
第22代CIA長官レオン・パネッタは、ベトナム戦争中は情報将校であり、その後、カリフォリルニア州の弁護士となった。やがて弁護士から政治家に転身し、保険省、教育省長官を務め、福祉の公民権専門[市民運動]の弁護士でもあった。

国会議員の8期目には、行政管理予算局の責任者の職務に就き、やんちゃで聞き分けのない若者が、ビル・クリントンであるが、第42代大統領になったとき、その若者は、自分を補佐する人物としてパネッタを主席補佐官に任命した。以来、パネッタは、政治の中枢にいた。

いつもならこの時間は、アルジャジーラ、CNN、BCCを見ながら、CIA本部の地下にあるトレーニングジムでランニングマシンの上で5マイルほどの距離を走っているところだった。

バージニア州ラングレーの6時45分は、アボタバードの15時45分なのだが、なぜか、パネッタは、パキスタンに潜伏しているチャーリーのことが気になった。

パネッタは、チャーリーがバグラム空軍基地を去る3週間前に、極秘に面会していた。バグラム空軍基地に、急遽作られたCIA長官室にチャーリーを呼び寄せ、顔を付き合わせて、チャーリーが行おうとする、勇気ある行動を賞賛した。

「あの男は、今、何をしているのか・・・」。パネッタは、ランニングマシンの上でぼんやりと考えていた。

ランニングを終え、シャワーを浴び、衣服を整えて、CIA長官の執務室に戻った。テレビをつけると、CNNが流れた。ソファにもたれながら、ボーッとテレビを見ていた。

ビンラディンの行方は、依然として分からない。さまざまな報告が上がってくるが、どれも確証となるほどのものではなかった。しかし、パネッタの、情報将校としての技術と勘、そして弁護士としての理論的な思考から、ビンラディンは、パキスタンのどこかに潜伏していると考えていた。

それゆえ、元特殊部隊のチャーリーを乞食に変装させ、単身、パキスタンに潜入させるようなリスクの高い作戦も実行している。
「間違いない。ビンラディンは、必ずパキスタンにいる。絶対に見つけ出せ」。パネッタは、この言葉をチャーリーへの餞別(せんべつ)とした。

テレビのCNNは、たわいもない国内ニュースを流している。まもなくバグラム空軍基地の定期記者会見が始まる。


同時刻のバグラム空軍基地では、マイク・コリンズ陸軍大尉が定期記者会見の準備をしていた。コリンズ大尉は、6ヶ月ほど前に、現地報道官としてバグラム空軍基地に赴任してきた。

当初は、初めての海外任務で、うれしくもあり緊張もしていたが、3ヶ月を過ぎたあたりから、アフガニスタンの環境が、退屈で孤独な時間であることが分かり、ウンザリしていた。

バグラムから一歩でも出れば、テロリストから狙われ、治安などあったものではなく、ほぼ1日を基地の中で過ごし、宿舎とオフィスを往復する日々だった。

記者会見といっても、何か特別なことを発表するわけではない。○○村で弾薬が100キロ見つかったとか、週末に、現地民とサッカーの親善試合が行われるといった内容がほとんどであった。

報道各局の記者たちも、記者会見にはやってくるが、誰ひとりとして、メモも取らなければ、質問もしない。コリンズ大尉が一方的に喋って、記者会見は終わる。

副官から記者会見の原稿を受けると、コリンズは、会見場へ移動した。中央の壇上に立つと、いつものように、やる気のない記者たちが待っていた。

いつものように、コリンズは、一方的に原稿を読み上げ、最後に、「以上です。何か質問は?」。これもいつもどおりであった。10秒。10秒待って質問がなければ、記者会見は終わる。コリンズは心の中で数えた。

「8・・・9・・・」と会見場の後ろの壁を見ながら数えた時、「報道官、1つお尋ねしても良いでしょうか?」。1オクターブ高い声が聞こえた。コリンズ大尉だけではない。その場にいた全員が、声の主に向かって振り返った。

「ワシントン・ポストのメアリー・ヤングです。ここ数日、動きがないようですが、ビンラディン捜索は現在どこまで進んでいるのでしょうか?」。

声の主は、まだ、20代半ばの若い女性記者であった。コリンズ大尉を含む、その場の全員の時間が一瞬止まった。


次回更新は、6月12日「レオン・パネッタ」です。
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Posted by 友清仁  at 07:01Comments(3)Story(物語)