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Posted by ミリタリーブログ  at 

2013年08月14日

シールズ・チーム6 Seals team 6 3

シールズ・チーム6のメンバーである、トロイ・ロバート軍曹は、妻のブリタニーを実家に帰らせるべく、付近の空港まで送り、そして家に到着すると、再び庭のコンテナに篭った。

コンテナの大きさは、長さ6メートル、高さ2.5メートル、幅2メートルである。トロイが扉を開けると、その中には、M4カービン、M870ショットガンなどの銃器やその弾薬、タクティカルベストなどがぎっしりと、しかし、整然と整理されて収納されてあった。

「出張」の命令が下ると、トロイは、このコンテナに篭もり、その出張の準備をする。しかし、出張の内容までは明かされないため、どんなものが必要なのか全くわからない。したがって、自分の過去の経験や、その時の軍事・政治状況を考慮して装備を考える。結論など出るわけがない。1日中篭らざるを得なかった。

誰にも相談できない。チーム6のメンバー同士でさえ、プライベートで連絡を取ることを禁じられている。チームの中での自分の役割や能力を考えて、持ってゆくものを決める。

前述のとおり、家族にも、任務の内容はもとより、自分の身分を明かすことも許されない。このように事実を完璧に隠匿できるかも、チーム6のメンバーになりうるかの条件であり、精神疾患や人格障害がないかも厳しくチェックされた。

その結果として、トロイは、何百回戦闘に参加しても、敵を何のためらいもなく、しかも効率的に殺すことができ、しかし一方で、家に帰れば、良き夫、よき隣人となり、地域のコミュニティに溶け込むことができた。言い換えれば、トロイは、理想的な戦闘マシーンとなっていた。

殺人と平和の間を行き来するトロイは、正直なところ、自分が何者であるか分からなくなっている。夢の中に住んでいるような感じであった。唯一、彼を現実世界と結びつけているもの・・。それは、海軍のIDカードだけであった。

この海軍のIDカードがなくなれば、俺には、いったい何が残るのだろう・・・。コンテナに篭るとき、必ず1回は考える。間違いなく、トロイは、寒空に放り出されるだろう。妻のブリタニーとも別れねばなるまい。なにせ、殺人しか特技がないのだから。




ほんの2ヶ月ほど前、トロイが所属するチーム6は、イギリス人NGO職員、リンダ・ノーグローブを救出する作戦を行った。ノーグローブは、9月26日、東アフガニスタンのクナル州で、3名のアフガニスタン人スタッフと共に、現地武装勢力に誘拐された。直ちに救出チームが編成され、現地に派遣された。

救出作戦は、基本的に夜間行われる。これは、現地武装勢力は、ナイトビジョンなどの装備を持っていないため、暗闇が最大のアドバンテージとなるからである。

6名の救出チームは、タスクフォース131と命名され、漆黒の闇の中、ブラックホークからファストロープで降下すると、すぐに、人質のリンダ・ノーグローブが監禁されている小屋を攻撃した。

はじめの一撃で、小屋の周囲の兵士、13名を殺害した。救出チームは、そのまま小屋に侵入し、リンダを救出するべく、小屋に小走りで接近した時である。中からPKMを構えた兵士が現れた。

救出チームの一人が、とっさの判断で、グレネードを小屋の入口付近に投げ込み、PKMの兵士をフッ飛ばした。あと一瞬遅れていれば、チーム全員がPKMの餌食になっていただろう。

しかし、安堵したのもつかの間で、グレネードの爆発音に、周りの武装兵力が集まってきた。敵は、闇夜を無差別に撃ってくる。その音に勢いづくかのように、さらに敵が集まってきた。

もはや、救出作戦どころでなかった。救出チームは、ナイトビジョンを活用して敵を狙撃した。ライフルにはサプレッサーが取り付けられているため、こちらの発射音はしない。暗闇から狙撃され、一人、また一人と仲間が殺される状況に、武装勢力の兵士は恐れをなし、やがて撤退した。

敵が撤退したのを確認すると、救出チームは、リンダ・ノーグローブが監禁されている小屋へ侵入した。しかし、そこで目にしたものは、ノーグローブの哀れな死体であった。死体の様子から、死因は、手榴弾によるものだとはっきりとわかった。


次回更新は、8月21日「シールズ・チーム6」です。
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Posted by 友清仁  at 07:00Comments(0)Story(物語)