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Posted by ミリタリーブログ  at 

2013年10月09日

キャンプ・アルファ Camp α 5

アフガニスタン某所 キャンプ・アルファ上空
シールズ・チーム6のメンバー、トロイ・ロバート軍曹とその同僚たちは、闇夜を飛行するチヌークの中にいた。トロイの目の前には、コンテナの中から選んだ装備が入ったリュックサックがある。各人のいずれのリュックも、はちきれんばかりに膨れ上がっていた。

いつもと違う・・。トロイは感じていた。なぜなら、通常のシールズの交代ならば、バグラムに着くと、前任のチームメイトが出迎え、派手なパーティをやるのだが、今回は、出向かえどころか、AC130を降りたらすぐにチヌークへ乗るように言われた。そして今、その機内である。

やがて、チヌークの高度が下がり、機体全体に衝撃が走った。「荷物を持って降りろ。急げ!」。
まるで、戦地に初めて来た新兵のように、パイロットに怒鳴られた。降りた先でも出迎えはなく、倉庫のようなところへ通されると、あすの朝まで待機するように命令された。各人は、荷物から寝袋を取り出して、横になった。

翌朝、再び新兵のように怒鳴られ起こされ、倉庫の外に出た。見ると、周りを巨大なコンテナで囲まれた「城塞」の中にいることがわかった。倉庫の周りには、大小いくつかの建物があり、スタッフが働いているのが見えた。

「エラいところに連れてこられた・・」。
トロイの所属するチームのリーダー、ドナルド・ダンハム大尉はつぶやいた。指揮官であるダンハム大尉にも、詳細は説明されていないらしい。全部で40名のシールズ、チーム6のメンバーが、城塞の広場のようなところに集まった。

やがて、その城塞に似合わない男、スラックスにYシャツ姿のスチュワート・カポスが現れ、
「みなさん、昨夜はお疲れ様でした。この基地の責任者のスチュワート・カポスです」。
カポスは誰に対しても丁寧な言葉遣いのようである。

「皆さんには、近いうちに重要な任務を行ってもらいます。それまで、ここで英気を養ってください」。
カポスは、それだけ言うと、くるりと後ろを向いて、自分の執務室のバラックへ消えた。
「英気を養え?おもしれぇ冗談だ。こんな監獄みてぇなところで、気が滅入るだけだぜ」。
トロイの同僚のソルベスキー軍曹が言った。

それから数日間、トロイたちは何もすることがなく、城塞内のヘリポートで体操をしたり、行軍ドリルをしたりと、まるで新兵訓練のような日々が続いた。変わったことといえば、地べたに寝袋で寝ていたことから、一人ずつ簡易ベッドが与えられ、衛星テレビが取り付けられたことくらいである。

数日後、リーダーのダンハム大尉が、覆いのついたキャスター付きの机をカラカラと倉庫に運び入れ、皆のベッドの中央で止まった。机の覆いの真ん中あたりが出っ張っている。
「今日はだれかのバースデーだったかな?」 ソルベスキーが冗談を言った。

ダンハム大尉は、ソルベスキーに向かって指差してニヤリと笑うと、「サプラーズ!!」と言って覆いをとった。覆いの下からは、三角形の形をした、建物の模型が現れた。その場にいた一同の目が鋭く光った。


次回更新は、10月16日です。「キャンプ・アルファ」
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Posted by 友清仁  at 07:00Comments(2)Story(物語)