スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  

Posted by ミリタリーブログ  at 

2014年01月22日

コードワード:ジョロニモ Code word GERONIMO 3

「3階にジェロニモ発見!!」
トロイ・ロバーツ軍曹は、叫ぶと同時に、HK416のトリガーを引いた。しかし、ビンラディンは、すぐに顔を引っ込め、弾丸は、虚しく天井に穴を開けただけだった。

2名のシールズ隊員が階段を駆け上がる。ビンラディンの背中が見えたが、すぐにドアの向こうに消えた。代わりに現れたのは、クリンコフを構えた小男だった。小男は、トリガーを引いたものの、射撃に慣れていないためか、リコイルで、すぐに銃口が上を向き、弾丸はシールズたちの頭上を通過していった。

トク、トク、トク・・・・。サプレッサーを介した5.56mm弾が、HK416から発射され、小男の胴体に吸い込まれるように命中した。小男は、後ろに倒れ、そのまま動かなくなった。

シールズたちが、ドアを蹴破り部屋に入ると、そこには、先程まで誰かが寝ていたいであろう、シーツが乱れたベッドが2つあるだけで、ビンラディンはいなかった。しかし、彼らは、慌てずにその部屋のクリアリングを行い、後方に控えるトロイに向かって、「クリア!!」 と報告した。

トロイが部屋に入ると、部屋の奥にもう1つ扉があることを発見した。あのドアの向こうにビンラディンがいるに違いない。ついに追い詰めた。だが油断は禁物である。

「気をつけろよ・・」。
背後から、ソルベスキー軍曹が言った。いつの間にか、トロイの背後についていたらしい。

「OK! 突入するぞ。バックアップしてくれ」。トロイは、ソルベスキーに伝えた。
2名は、ゆっくりと静かにドアに近づき、ソルベスキーがノブに手をかけると、鍵がかかっていない。とっさのことで、鍵をかけることができなかったのだろう。

「3・・2・・1・・GO!」 ソルベスキーが叫ぶと同時にドアが開け放たれ、次の瞬間、トロイが部屋に突入した。もし、ビンラディンが銃を構えていれば、トロイは迷うことなく、否、条件反射的にトリガーを引いて、奴を射殺するだろう。
しかし、ドアの向こうにあったものは、全く予想しなかったものであった。

トロイが目にしたものは、2人の女性が、ビンラディンの前で両腕を広げて立ちはだかり、侵入者であるトロイを敵意に満ちた目で睨みつけている光景であった。おそらくビンラディンの妻と娘であろう。侵入者であるトロイを、ビンラディンに一歩も近づけまいと、決死の形相であった。

彼女らの背後にビンラディンの顔が見えた。「もはやこれまで」といった、観念の表情にも見える。しかし、奴の前の2人の女性は、できる限りの抵抗をしようとしている。背後にいるものが、アメリカとって残忍無比なテロリストの首領であっても、彼女らにとっては、愛すべき夫であり父である。

トロイは、その姿に、自分の妻ブリタリーが重なって見えた。この作戦の特別な交戦規定では、たとえ女子供であっても、障害になるならば射殺せよ、となっていた。作戦前のトロイも、戦闘マシーンとしてその命令がインプットされ、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、トリガーを引けると思っていた。

しかし、実際にその場面に出くわすと、一瞬にして戦闘マシーンから生身のトロイ・ロバーツに戻ってしまった。HK416のグリップを握る手の、人差し指が小刻みに震えた。
そのとき、ナイトビジョンの向こうに見えるビンラディンの顔が、観念の顔から、唇の端を歪ませ、あたかもトロイを嘲るかのような表情に変わった。


「コイツ・・・。どこまで汚ねぇ野郎だ・・・」。トロイは、奥歯を噛み締めた。沈黙の時間が流れる・・・。

その沈黙を破ったのは、トロイの背後にいたソルベスキーだった。
ソルベスキーは、銃を構えるトロイの脇を抜けて、ビンラディンの妻と娘にタックルして押し倒し、「クリア!!」と叫んだ。

女2人は、ソルベスキーのヘルメットを叩き、必死に抵抗するが、逃れることができない。次の瞬間、トロイのEOtechのホロサイトの赤い照準の真ん中に、ビンラディンだけが映った。トロイ・ロバーツ軍曹は、再び戦闘マシーンに切り替わった。

事態の急変に、背を向けて逃げようとするビンラディンに、トロイは冷静にトリガーを引いた。
トク、トク・・・、トク、トク・・・。 頭と胸に2発ずつ正確に撃ち込んだ。ビンラディンはその場に崩れるように倒れた。その直後、奴の妻と娘の叫び声だけが、部屋にこだました。


次回更新は、1月29日「コードワード・ジェロニモ」です。
ご意見・ご感想をお待ちしております。

3週連続ZDTだ。

それはさておき・・・
いよいよ、この物語も終わりに近づいてきているわけですが、この後の展開をどうしようかと思っております。
一応、ビンラディンが殺害された時点で、アフガニスタン戦争がひと段落したような感じもします。

私の周辺では、レッド・ウィング作戦についてやってほしいという声もあります。しかし、そろそろ、イラク戦も始めないと、いつになったらはじめられるか見当もつきません。
レッドウィング作戦については、すでに訳書も出ていますし、近日、映画も公開されますので、そちらの方をご覧いただければと思います。

でも、どうしたもんかと悩んでおります。

1/26 コミックシティ東京133 (東京ビックサイト) 東5ホール か14a
2/2 東京コミティア106 (東京ビックサイト) 東5ホール R14b
2/9 サンシャインクリエイション62 (池袋サンシャインシティ) A23ホール K01a


------------------------------------------------------------------------------------------
同人誌も発行しております。こちらもどうぞ。同人誌書店COMIC ZIN通販ページと 虎の穴通販ページに飛びます。(購入には会員登録が必要です。)



私の訳書(共訳・監修)です。よろしかったらお読みください。
画像クリックでamazonへ飛びます。







  


Posted by 友清仁  at 07:00Comments(2)Story(物語)