2010年01月06日

近接航空攻撃 Closed air strike

翌朝、ハード少尉とチーム555は、バグラム空軍基地の管制塔へ上った。バグラム空軍基地は、長年の内戦のため基地とは名ばかりで、航空機は1機もなく、すでに廃墟と化していた。当然、管制設備も壊れている。とはいえ、バグラム空軍基地の管制塔は、このあたりではいちばん高い建物で、無線通信に適していた。最上階の管制室に、ハード少尉たちは、持ってきた通信機器を広げ、手早く機器を接続した。

機器の接続や設定が終わる頃、ファヒム将軍と側近たちが、管制室まで登ってきた。
「将軍。本日、我々の実力をお見せします。向こうにタリバンの拠点があります。よく見ていて下さい」。ハード少尉はそう言うと、隊員の1人に目配せした。

ハードが目配せしてから、10秒もしないうちに、空母セルドアルーズベルトから飛来したF/A-18ホーネットが管制塔の上空を通過した。将軍側近の中には、生まれて初めてジェット機の爆音を聞いて、うろたえる者もいた。

ホーネットはあっという間に空の点になった。その点から、2、3個のさらに小さな点が、タリバン陣地へゆっくりと落ちていった。落下した点が地面に着いた瞬間、凄まじい轟音と巨大な火柱が上がった。以後、爆音ともに飛来したホーネットが点になり、その点が2、3の点を吐き出し、それが地面に触れると火柱が上がる現象が、何度も何度も連続して起こった。

ファヒム将軍は、管制塔の窓から身を乗り出し、双眼鏡で爆発地点を見た。突然の空爆に驚き、逃げ惑うタリバン兵や炎上する戦車が見え、タリバンの基地は、まさに阿鼻叫喚の様相を呈していた。「兵を突撃させろ!」将軍は、側近に怒鳴った。

しばらくすると、爆発地点に向かってたくさんの車両や馬に乗った兵士が走って行くのがハード少尉には見えた。ハード少尉は、誤爆の恐れがあるため、突撃を止めるように進言したが、ファヒム将軍は、「かまわん。どんどん爆弾を落とせ!」と怒鳴った。


次回更新は、1月13日 「北部同盟」です。お楽しみに。
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写真は、イメージです。

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Posted by 友清仁  at 07:02 │Comments(0)Story(物語)

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