2010年03月24日

メディア対策 Hook the medias

アフガニスタンへ空爆を始める前、否、9・11テロが起こってからすぐに、ワシントンは、メディアや市場に対してさまざまな手段をとっていた。アメリカ政府は、実質的なアフガン政府であるタリバンに、ビン・ラディンをはじめとするアルカイダ幹部を引き渡すように要請する一方で、タリバンに対する武力行使の準備も進めていた。

アフガン攻撃に際し、アメリカ政府が最も恐れたことは、「キリスト教vsイスラム教」という図式になり、ソ連のアフガン侵攻、果ては中世の十字軍のようなことになることであった。(しかし、ブッシュ大統領本人が、「十字軍」的な発言をしてしまい、その後のもみ消しが大変であった。) 

そのため、アフガン侵攻準備を進める一方で、アラブ世界で最も影響力の強いアラブメディアに対して、大規模な「攻撃」を行った。攻撃の対象となったのは、中東最大の衛星放送アルジャジーラである。一説によると、アメリカ政府は、米投資会社に働きかけ、アルジャジーラの株式のほとんどを買収させ、一時期、アメリカ系企業にしてしまったという。

9月半ばから、ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官などの政府要人がインタビューを受け、「アメリカは、決してイスラム世界に対して戦争を行っているのではない。テロリストと戦っているのだ」、「アメリカは、クウェート、ボスニア、コソボを救った」。と繰り返し発言した。さらに「イスラム穏健派指導者」を取り込み、彼らが同調したことで、いっそう効果が高まった。

また、アメリカの全省庁も「挙国一致」体制を敷いた。例えば財務省などはアラブ系企業に対し、アメリカに協力した場合の「莫大な見返り」と反アメリカ行動を行なった場合の「過酷な制裁」の両方を使い、市場操作も行なった。このような処置のおかげで、反タリバン、反アルカイダへと国際世論を勢いづかせることができた。

この結果は明白で、開戦当初から、米のアフガニスタン進出および駐留を非難するイスラムおよびアラブ国家はひとつもなかったのである。



次回更新は、3月31日 「心理作戦」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:00 │Comments(0)knowledge base(基礎知識)

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