2010年10月06日

グレイの苦悩 Agonized Gray

9月18日。まだ夜も明けきらぬうちから、CIAの中央アジアを担当する部局はあわただしくなった。CIA秘密作戦部長テネットは、ロシア語に堪能な部下数名を率い、モスクワへと飛んだ。北部同盟を10年以上に渡り、支援してきたロシア情報局に支援を求めるためである。

テネットは、北部同盟内に駐在するCIA工作員が大幅に増えることを伝え、工作員の行動をけん制しないこと、できればロシア工作員も北部同盟司令官にアメリカに協力するように働きかけることなどをロシア情報局に依頼した。

当然のことながら、ロシア情報局は、アメリカに対し莫大な見返りを要求してきたため、テネットは、現在CIAが行っている中東作戦の内容を教え、さらにアフガン戦後の秘密協定を結んだ。(しかしながら諜報機関の常というべきか、テネットは、その後、なんだかんだと理由をつけて、この秘密協定をすべて反故にしてしまうのだが・・・)。

4日後の9月21日、CIAの第1陣、コードネーム「ジョーブレーカー」が必要な機材とともにタジキスタンを経由してウズベキスタンへ入った。この時点では、ウズベキスタンのカリモフ大統領は、対米態度を明らかにしておらず、国外退去命令がいつ出てもおかしくない状況であったが、CIAは、現地人に大量のドル札や物資を与えて土地の賃貸契約を結び、無人偵察機の簡易飛行場を建設してしまった。

CIA派遣部隊のリーダーである、グレイは、9月23日までに北部同盟-タジキスタンが支配しているアフガニスタン領内に侵入するように命令を受け、準備をすすめていたが、25日になっても進入することはなかった。

ワシントンの作戦部長テネットは、一刻も早く侵入し戦果を上げろと、矢のような催促であったが、グレイは、すべて無視した。現地のグレイからすれば、CIA単独での侵入は非常に危険であり、グリーンベレーなどの特集部隊と協働するつもりでいたのである。

タジキスタン政府がビザの発給やCIAの機材の搬入の許可をなかなか出さなかったため、準備が整わず、進入しようにも進入できなかったのも事実である。

グレイの進入を遅らせていたもう1つの理由は、移動に使うヘリコプターであった。現地に着いてすぐに現地民から旧ソ連製のMi-17を買い取ったのだが、買い取ったMi-17は、おそろしくポンコツで、いままで幾度となく修羅場をくぐり抜けてきたグレイでも乗ることにためらうほどであった。

グレイは、さらにドル札をばら撒き、できる限り程度のよい中古パーツを買い集め、同行のエンジニアにヘリを修理させた。

最終的には、機体の修理だけでなく、西側のレーダーやナイトビジョンシステムまで搭載する「最新」ヘリコプターに生まれ変わった。(このヘリコプターは、その後、北部同盟に供与され、タリバン崩壊後は、アフガニスタン軍航空部隊の1号機となった)

9月末日の未明。グレイとその部下10名は、北部同盟司令部へ向けて飛び立った。

次回更新は、10月13日 「ジョーブレーカー」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:07 │Comments(0)Story(物語)

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