2010年12月08日

タクール・ハーの戦い4 Takur Ghar 4

Sealsの二―ル・ロバーツ軍曹は、薄暗い山頂に放り出された。数メートルの高さから落ちたにもかかわらず、ケガひとつしなかったのは、落下地点に厚く雪が積もっていたからである。
しかしこれが幸運であったといえるかどうか・・・。ヘリから誰かが落ちたことを知ったアルカイダは、落下地点に向け、小銃を撃ってきた。

ニールは、すぐに近くのくぼ地に身を隠し、迫り来るアルカイダに向け、M249を放った。暗闇の中で撃ち合っているため、敵に当っているかどうかは分からない。しかし、ニール軍曹には、暗闇に向けて撃ち続けるほか、するべき行動がなかった。

先に部隊を下ろしたレーザー04は、すさまじい銃声を聞き、僚機がいなくなったことに気がついた。すぐに上昇し、山頂付近を見ると、激しい銃撃戦が行われていた。パイロットは、メインモニターを熱感知レーダーに切り替えると、ニール軍曹とおぼしきマーカーライトを中心に、虫が群がるようにアルカイダが接近しているのが分かった。

パイロットは、すぐさま上空で待機しているAC-130に、「上空から制圧射撃せよ」と無線で怒鳴ったが、AC-130からは、「レーザー04へ。お前がこちらの射線に入っている。誤射の危険性がある。速やかに退避せよ」。ヘリのパイロットは、すぐにスロットを引き、退避行動に移ったが、数分後、山頂のニール軍曹のMinimiの銃声が止んだ。

事態の急変を知った司令部のハーゲンベック将軍は、緊急即応部隊(QRF)を編成し、ニ-ル軍曹を救出するように命令した。

この部隊は、2機のチヌークに分乗して、タクール・ハー山頂へ向かっていた。それぞれレーザー01、02とコードネームが与えられ、01には、レンジャー10名、戦術航空管制官(TACP)および空軍戦闘管制官が、02には、レンジャー10名が載っていた。

「味方が蜂の巣にされている。1秒でも早く現場に行け!」。司令部からそう言われて、取るものもとりあえず、ヘリに乗り、現地に向かっていた。もちろん山頂のニール軍曹がどんな状態であるか、Sealsが山頂の南北に分かれて降下し、南側の部隊が攻撃を受けているなどの基本的な情報さえない状態だった。

レンジャーが飛び立った直後、山頂の北側に降りたレーザー03のSealsは、銃声を聞き、さらに重厚なタコツボ陣地が構築されていることを知り、作戦の中止を司令部に要請した。司令部のレーザー04の状況を考慮し、即座に要請を受け入れ、安全な地点まで下山するように命令した。

この時点で、司令部の考えとしては、山頂確保作戦を中止し、レンジャーを派遣して、山頂のSealsを収容することを第1とし、ついでニール軍曹の遺体回収を含めた城塞占領作戦を練り直すつもりでいた。

しかし運命のいたずらなのか、司令部がレーザー03のSealsに退却命令を出した直後、山頂のSealsはもとより、救出に向かっている第75レンジャーたちにも無線が通じなくなってしまった。(これは、戦後の調査においても謎のままである)

午前5時45分。レンジャー達は、山頂付近の上空に到着した。しかし山頂には、攻撃を受けているはずのニール軍曹がいなかった。直ちに司令部に確認を取ろうとしたが、無線が通じなかった。

レーザー01のレンジャーは、作戦的に盲目状態になった。「とにかく、ニールを探せ」。レンジャー部隊のセルフ大尉は叫び、山頂の地面からわずか10メートルの高さまで高度を下げた。
地獄の門がゆっくりと開こうとしていた。

地上のアルカイダのタコツボが巧みにカモフラージュされているため、重厚な対空陣地の真上をフラフラと低空飛行していることにすら気がつかなかった。地獄が始まるのに、さほど時間はかからなかった。

ここからは、レーザー03と同じである。ヒューンという空気を裂くような音がした。機内の誰もがRGPが放たれたことをすぐに理解した。次の瞬間、機体に激しい衝撃が走った。
「機体右側にRGP被弾。油圧、電気系統不能。ローター回転低下!!」。

次回更新は、12月15日 「タクール・ハーの戦い5」の予定です。
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Posted by 友清仁  at 07:01 │Comments(0)Story(物語)

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