2012年08月15日

誤爆 Friendly bombing 8

無人の民家の地下倉庫へ避難したジェイスン、ペティソリー大尉およびカルザイは、その瞬間を待っていた。3人が避難している地下倉庫は、この家の主の食料などを保管しておくためのものであり、防空処理などはされていない。

B-52のAGM-69 SRAM の直撃弾を食えば、ひとたまりもない。至近弾であっても屋根が崩れ落ちて生き埋めになるだろう。「どうか、この近くに落ちませんように・・・」。ジェイスンは子供のように祈った。

数秒後、地響きが地下室に響いた。屋根から大量の土やホコリが舞い落ちた。ペティソリー大尉は、思わず目をとじてしまった。そのあとは、まるで今までの喧騒がウソのように静かになった。

爆発音や銃声が聞こえないことを確認した3名は、地下室から地上へ出た。地上は、地下室と打って変わって、消火活動に追われる男たちで、まさに火事場の騒ぎである。

ジェイスン大尉は、元の司令部があったホテルへ向かった。ホテルの近くでは、カザフ空挺連隊のアシモフ大佐が、愛用のドラグノフを背中に斜めに回して、アフガン兵に現地の言葉で怒鳴り散らし、消火や負傷者の救護活動の指揮をしていた。

アシモフは、ジェイスンの姿を認めると、
「アメリカ人よ。お前たちは、なんと間抜けなのだ。敵ではなく味方に爆弾を落とすとは!」。これ以後は、アシモフの言葉があまりに早口で、ジェイスンには聞き取れなかった。

おそらく、アシモフは、彼なりに現地軍を指揮して、タリバンと戦っていたのだろう。そこへ何の連絡もなく、(確か、アシモフには部隊間で通信する無線機を渡していなかった)、空爆され、危うく死にかけた。そのことを、思いつく限りの悪口憎言でまくし立てているのだろうと、ジェイスンは理解した。

ジェイスンは、アシモフに、「Sorry」と簡単に謝った。それ以外にどうしろというのか。その言葉を聞いて、アシモフも黙った。アシモフも同じことを考えていたのだろう。アシモフは、攻撃を仕掛けたタリバン軍は、空爆で全滅した、と言った。

ジェイスン大尉は、ODA574メンバーの点呼をとった。死亡者はいなかったが、CIAのゼペス、空軍のデニスが、空爆の際にガレキが体に当たり、大けがをしていた。メディックのケンが、骨折したペティソリーを含めて、高度医療が受けられるカブールに搬送する必要があると言った。

ついで、アレックスらCCTに、どこか上級司令部に通信できたかを尋ねた。CCTは、通信できないことを報告すると、ジェイスンは、通信を継続するように指示した。

退避指示を受けていなかったアフガン兵に、負傷者が多い。メディックのケンが懸命に手当をしているが、人手が足りず、全く追いついていない。そんな時、再びAK47の銃声が響いた。タリバン軍が生き残っていたのか?

「アメリカ人よ。奴らはタリバンではない。山賊馬賊の輩だ。どさくさに紛れて略奪をしようとしている。追っ払ってくるから兵士を少し借りるぞ」。アシモフはそう言うと、付近の兵士を引き連れて、銃声の方へ走っていった。

ともかく、タリン・コットおよびODA574は、危機的な状況であった。頼みの綱は、上級司令部に連絡が取れることであった。ジェイスン大尉は、通信を試みるCCTらの背後で、その作業を見守っていた。

数分後、
「・・・・・こちら、ODB 570・・・。貴官の所属および司令官を報告せよ・・・」。
ついに、地獄の底で挌闘しているODA574に、蜘蛛の糸が降りてきた。


次回更新は、8月22日「セクショナリズム」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:01 │Comments(0)Story(物語)

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