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Posted by ミリタリーブログ  at 

2010年05月19日

2人のCIA Two CIA

11月24日、ドスタム軍は、捕虜をクライ・シャンギ監獄に収容した。捕虜達は、意外なほど従順で、たった10名の監視兵に逆らうこともなく、監獄に入った。もっとも、捕虜達の従順さは、ドスタム軍に心服しているのではなく、ドスタム軍の捕虜管理がずさんだからであった。

捕虜達は、武器を所持することは禁止されているものの、それ以外の行動は自由で、例えば、暇つぶしにギャンブルをやっていても監視兵は注意しなかったし、食料が足りなければ、付近の村へ強奪にすら行っていた。当然、強奪の帰りには、自動小銃などを隠して持ち帰っていた。

翌11月25日未明には、CIA工作員、スパンとデイブの2名が、大量の捕虜の中からアルカイダメンバーを見つけるために派遣されてきた。

同日の早朝、捕虜の尋問が行なわれることになり、捕虜達を監獄の広場に引き出した。ちょうど、朝の礼拝の時間と重なっていたため、捕虜達は、一斉に礼拝を始めた。礼拝が終わると、朝食が配られ、広場がにぎやかになった。捕虜達は、捕虜になったことを喜んでいるようで、監視兵と談笑するまでになった。

おそらくタリバン兵の穏やかな態度に騙されてしまったのだろう。スパンとデイブは、捕虜を個別に尋問しないことに決めた。しかし、この決定は、後に重大な誤りであることが分かる。

CIAのスパンは、捕虜が満ちている広場の中央まで進み、捕虜にいくつか質問した。捕虜達は、この声に反応し、あっという間に、スパンをと取り囲んだ。
「なんで、お前らは、アメリカに対抗するのだ?」とスパンが尋ねると、捕虜の1人は、「お前を殺すためだ」。とブロークンイングリッシュで答え、スパンを殴りつけた。さらにもう1人が首を締めようと手を伸ばしてきたため、スパンは、すぐにグロック17を取り出し、捕虜に向けて発砲した。

一瞬、捕虜達はひるんだものの、すぐにスパンに飛びかかり、押さえつけると、袋叩きにして殺してしまった。スパンは、アフガン戦初の戦死者となった。
さっきまで談笑していた監視兵たちも、スパンと同様の運命に落ちた。

この様子を城壁の上から見ていた、もう1人のCIAデイブは、すぐにスパンを助けるため走った。しかし、これがまずかった。急な動きを察知したタリバン兵は、隠し持っていたAK47を一斉にデイブに向けて発砲した。銃弾の何発かが、デイブの右足に命中した。

デイブは、痛みに耐えながら、なお走り、国連職員およびドイツ人テレビクルーが作業する部屋へ転がり込んだ。

「逃げろ。捕虜達が襲ってくるぞ」


次回更新は、5月26日 「孤立無援」です。お楽しみに。
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写真は、イメージです。

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Posted by 友清仁  at 06:55Comments(0)Story(物語)