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Posted by ミリタリーブログ  at 

2011年11月09日

スナイパー Sniper

一方、無事に着陸し、集合を終えたテキサス1、2、4、のメンバーも、GPSのスイッチを入れて位置を確認していた。画面には、メンバーの位置を表す緑色の交点と、隠匿した荷物を表す赤色の光点映し出された。

ジェイスン大尉は、真っ先にGPSの地図を広範囲にして、テキサス3のメンバーが無事かどうかを確認した。すると、テキサス3の荷物とアレックスらメンバーの光点が5キロほど離れた位置にあることが確認できた。ジェイスンは、すぐにテキサス3へ無線を飛ばした。「こちらジェイスン、テキサス3、現状を報告せよ」。

ウェスら4人の背後に、たくさんのヘッドライトが迫ってきた。「全部で5台か・・」、アレックスが言った。1台に5人乗っているとして、合計25人、2個小隊である。それに対し、こちらは4名である。「やるか・・・」。再びアレックスが言った。

メンバー全員が、M4カービンのセイフティを解除した瞬間、ジェイスン大尉から無線が入った。応えたのは、メディックのケンである。

「こちら、テキサス3。ヘリは不時着したものの、通常飛行には問題なく、我々を降ろして基地へ帰還しました」。「我々も予定通り物資を隠匿したのち、集合地点へ向かっておりましたが、目の前に大河があり渡河不能です」。「悪いことに・・・・タリバンの偵察部隊に気付かれました。2個小隊程度が接近しています」。

「どこか渡れそうなところがないか?」。ジェイソン大尉は、重ねて無線で尋ねた。しかしその質問には、隣にいたカルザイが答えた。「ヘルマンド川は、アフガンの大河の1つで、この辺は下流域だ。どの場所も幅は500メートル以上ある。流れも激しい。船がなければ渡れない」。ジェイソンは唇を噛んだ。

「アメリカ人は、いい銃を持っているな。少し借りるぞ」。アシモフ大佐がつぶやくと、荷物の中からSR25とマガジン数本を取り出すと、ヘルマンド川に向けて歩き出した。

あたりは目を凝らしても何も見えない闇である。アシモフは夜目でも利くのか、ナイトビジョン無しでスタスタと歩いてゆく。あのオヤジは何をするつもりだ?そう思いつつも、ペティソリー大尉とロニーは、銃を持って、アシモフの後を追った。

やがてヘルマンド川の淵まで来た。ペティソリーとロニーには、川の流れる音が聞こえるため、近くに川があることが分かるが、川幅がどれくらいあるかなどはまったくわからなかった。しかしはるか遠くに車のヘッドライトらしき光点があることは分かった。

「対岸の同志たちに、伏せていろと言え」。アシモフは言った。「ペティソリーからテキサス3へ。体勢を低く、伏せていろ」。ペティソリーは、言われるままに通信した。

アシモフは、SR25をかまえスコープをのぞくと、すぐにトリガーを引いた。「パシュン」と高い音がした。銃にはサプレッサーが装着されているため、銃声はもとよりマズルフラッシュも出なかった。アシモフは、1発撃って、SR25のリコイルを悟ると、続けて、2発、3発と撃ち、最終的に10発近く撃った。

ペティソリーとロニーも、自分のSR25のスコープをのぞいたが、ヘッドライトの光だけが見えるだけで、タリバン兵が見えなかった。どうやらアシモフは、ヘッドライトの光から、タリバン兵の位置を予想して撃っているらしい。

「当たっているのか?」、ロニーは思わず聞いてしまった。「まぁ、見ていろ」。アシモフは、それしか言わなかった。


次回更新は、11月16日「スナイパー2」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:01Comments(0)Story(物語)