2011年08月03日
フランス特殊部隊 French SF
2001年10月、アメリカ政府は、対テロリズム戦争に対し反対の意見を出さぬよう、できればアメリカと協働するように要請するため、ヨーロッパ諸国に交渉団を派遣した。

使節団は、さほど苦労せずに交渉を成功させ、テロリズムに手を焼いているか、国土の防衛をNATO軍に大きく依存している、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストラリア、オランダおよびニュージーランドが、公式・非公式の違いこそあれ、アフガニスタン派兵を了承し、特殊部隊準備を開始した。その中で、対フランス交渉団だけが、交渉どころか関係当局への接触すらできないでいた。
フランスが、アメリカの対テロリズムの戦争に冷淡だったのは、アメリカの報復戦争に加担することへの道義的な理由付けがないことよりも、万が一、ソ連のアフガン侵攻の様に泥沼化してしまったら、フランスの国力や国際的な発言力を失ってしまうだろうという、利己的な理由からである。

もっとも、フランスに言わせれば、過去2回の大戦で自国が戦場となり、頼りにしていた同盟国アメリカ・イギリスに裏切られた(と、フランスは思っている)経緯から、アメリカのやることに、反対、中立、無関心の態度をとるのは当たり前だと叫びたかったに違いない。
ともかく、アメリカのやることに、反対、中立、無関心でいること・・・。これこそが、フランスが過去の歴史と経験から得た、フランスを世界一の国にする「知恵」であった。

しかし、「知恵」とは、真空状態で使うべきものであり、だからこそ、その効力も大きい。「知恵」を欲に湿らせて、風にあてると、耐え難い悪臭を放ち、非常に扱いにくいばかりか、むしろ害になる。テロとの戦いが始まる1ヶ月前、フランスは、「知恵」を欲にどっぷりと漬け込んだ。
アメリカの交渉団が帰国した後、はっきりとアフガン参戦を表明した国は、ノルウェーのみであることを知ったフランスは、この戦いは、アメリカとアフガニスタンの私闘となると見た。
つまり、戦うのはアメリカ1国だけであり、いかにアメリカが大国であろうとも、長期に軍隊をアフガンに派遣することは不可能で、局地的な戦闘は起こるだろうが、大規模な通常部隊の進出はないと判断したのだ。しかしこの判断は、欲に目がくらんだといわざるを得ない。
シラク大統領は、国防省隷下の対外治安総局(Direction Générale de la Sécurité Extérieure・・・DGSE)に対し、北部同盟およびタリバン幹部と接触し、それらに影響力を持てと命じた。
次回更新は、8月10日 「フランス特殊部隊2」です。お楽しみ。
ご意見、ご質問をお待ちしております。
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使節団は、さほど苦労せずに交渉を成功させ、テロリズムに手を焼いているか、国土の防衛をNATO軍に大きく依存している、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストラリア、オランダおよびニュージーランドが、公式・非公式の違いこそあれ、アフガニスタン派兵を了承し、特殊部隊準備を開始した。その中で、対フランス交渉団だけが、交渉どころか関係当局への接触すらできないでいた。
フランスが、アメリカの対テロリズムの戦争に冷淡だったのは、アメリカの報復戦争に加担することへの道義的な理由付けがないことよりも、万が一、ソ連のアフガン侵攻の様に泥沼化してしまったら、フランスの国力や国際的な発言力を失ってしまうだろうという、利己的な理由からである。

もっとも、フランスに言わせれば、過去2回の大戦で自国が戦場となり、頼りにしていた同盟国アメリカ・イギリスに裏切られた(と、フランスは思っている)経緯から、アメリカのやることに、反対、中立、無関心の態度をとるのは当たり前だと叫びたかったに違いない。
ともかく、アメリカのやることに、反対、中立、無関心でいること・・・。これこそが、フランスが過去の歴史と経験から得た、フランスを世界一の国にする「知恵」であった。

しかし、「知恵」とは、真空状態で使うべきものであり、だからこそ、その効力も大きい。「知恵」を欲に湿らせて、風にあてると、耐え難い悪臭を放ち、非常に扱いにくいばかりか、むしろ害になる。テロとの戦いが始まる1ヶ月前、フランスは、「知恵」を欲にどっぷりと漬け込んだ。
アメリカの交渉団が帰国した後、はっきりとアフガン参戦を表明した国は、ノルウェーのみであることを知ったフランスは、この戦いは、アメリカとアフガニスタンの私闘となると見た。
つまり、戦うのはアメリカ1国だけであり、いかにアメリカが大国であろうとも、長期に軍隊をアフガンに派遣することは不可能で、局地的な戦闘は起こるだろうが、大規模な通常部隊の進出はないと判断したのだ。しかしこの判断は、欲に目がくらんだといわざるを得ない。
シラク大統領は、国防省隷下の対外治安総局(Direction Générale de la Sécurité Extérieure・・・DGSE)に対し、北部同盟およびタリバン幹部と接触し、それらに影響力を持てと命じた。
次回更新は、8月10日 「フランス特殊部隊2」です。お楽しみ。
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2011年07月27日
ノルウェー特殊部隊 Norwegian SF
2002年1月、メディアの圧力に押される形でノルウェー軍スポークスマン、ピーター・リンドクイスト大佐は、アフガニスタンにノルウェー軍がいることを認めた。しかし詳細については、軍事機密として決して語ることはなかった。後のメディアの調査によると、70名前後の特殊部隊が編成され派遣されたようである。

ノルウェーでも、アメリカの報復戦争に加担するな、といった反対運動が起こったが、他国のように政治的な混乱を招くことはなかった。リンドクイスト大佐の発言から数日後、ノルウェー国防大臣、クリスチン・クローン・デボルドは、「わが国の特殊部隊が米軍とともにアフガニスタンで活動していることを、国民の皆さんにご報告いたします」。
さらに、「ノルウェー軍がアフガニスタンで活動することには、何の問題もありません。なぜなら、わが国はNATOの一員だからです。NATOの一員であるアメリカが攻撃を受けたのだから、大西洋憲章第5条に従い、攻撃されたNATO国を助ける義務があるのです」。 と付け加えた。この声明は、ノルウェー国民に十分に支持され、誰も反論を唱える者はなかった。

大西洋憲章5条とは、「NATO軍の一員である国が攻撃を受けた際、同盟国にも攻撃を受けたとみなす」、という条項である。
スカンジナビア特殊機動部隊(NORSOF)が秘密裏にアフガニスタンへ入ったのは、2002年1月頃と思われる。2個部隊が米軍の指揮の下、アフガニスタン南部で3ヶ月間活動した。
専門家によると、アメリカは、ノルウェー政府に(2001年11月にすでに、特殊部隊を要請していた)北極海で活動する特殊部隊を応援につけるように要請していたらしい。
ノルウェーの地理的条件を考えると、NATOの一員として極寒の地で活動するオスロの特殊部隊は、ナチスとの戦いで、長距離偵察、近接偵察および付加価値の高い目標破壊などの任務は、ノルウェー軍の得意とするところであり、その点でアメリカの要求を十分満たしていた。
ノルウェー軍特殊部隊は、ノルウェー語で「Fallskjermjegerkommandoen」と表記され、その実態はパラシュートレンジャー部隊で、陸軍特殊部隊として大隊規模で編成されている。
この部隊は、イギリス軍SBSあるいはアメリカ軍シールズなどと比較すると理解しやすい。すべての隊員は、水中での訓練を十分に受け、潜水装備を使った攻撃的任務を行うことができる。

主な任務は、敵勢力下に深く侵入し長距離偵察を行い、砲兵の照準支援を行う。さらに航空機による攻撃に必要なレーザー装置を使った攻撃目標の特定、前線での航空管制などである。すべてのレンジャー隊員は降下訓練を受け、パスファインダー(敵地に潜入し拠点を築く)ができる者もいる。所属する隊員全員、HOLO(高高度降下)ができることも注目に値する。
ノルウェー軍レンジャーが参加した作戦は、アナコンダ作戦で、シールズおよびドイツ軍KSKと共に戦い、ガルディーズ南方で9日間に渡ってアルカイダ軍と戦闘を繰り広げた。作戦期間中、米軍航空機による航空支援を3回受けることができた。
次回更新は、8月3日「フランス特殊部隊」です。お楽しみ。
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ノルウェーでも、アメリカの報復戦争に加担するな、といった反対運動が起こったが、他国のように政治的な混乱を招くことはなかった。リンドクイスト大佐の発言から数日後、ノルウェー国防大臣、クリスチン・クローン・デボルドは、「わが国の特殊部隊が米軍とともにアフガニスタンで活動していることを、国民の皆さんにご報告いたします」。
さらに、「ノルウェー軍がアフガニスタンで活動することには、何の問題もありません。なぜなら、わが国はNATOの一員だからです。NATOの一員であるアメリカが攻撃を受けたのだから、大西洋憲章第5条に従い、攻撃されたNATO国を助ける義務があるのです」。 と付け加えた。この声明は、ノルウェー国民に十分に支持され、誰も反論を唱える者はなかった。

大西洋憲章5条とは、「NATO軍の一員である国が攻撃を受けた際、同盟国にも攻撃を受けたとみなす」、という条項である。
スカンジナビア特殊機動部隊(NORSOF)が秘密裏にアフガニスタンへ入ったのは、2002年1月頃と思われる。2個部隊が米軍の指揮の下、アフガニスタン南部で3ヶ月間活動した。
専門家によると、アメリカは、ノルウェー政府に(2001年11月にすでに、特殊部隊を要請していた)北極海で活動する特殊部隊を応援につけるように要請していたらしい。
ノルウェーの地理的条件を考えると、NATOの一員として極寒の地で活動するオスロの特殊部隊は、ナチスとの戦いで、長距離偵察、近接偵察および付加価値の高い目標破壊などの任務は、ノルウェー軍の得意とするところであり、その点でアメリカの要求を十分満たしていた。
ノルウェー軍特殊部隊は、ノルウェー語で「Fallskjermjegerkommandoen」と表記され、その実態はパラシュートレンジャー部隊で、陸軍特殊部隊として大隊規模で編成されている。
この部隊は、イギリス軍SBSあるいはアメリカ軍シールズなどと比較すると理解しやすい。すべての隊員は、水中での訓練を十分に受け、潜水装備を使った攻撃的任務を行うことができる。

主な任務は、敵勢力下に深く侵入し長距離偵察を行い、砲兵の照準支援を行う。さらに航空機による攻撃に必要なレーザー装置を使った攻撃目標の特定、前線での航空管制などである。すべてのレンジャー隊員は降下訓練を受け、パスファインダー(敵地に潜入し拠点を築く)ができる者もいる。所属する隊員全員、HOLO(高高度降下)ができることも注目に値する。
ノルウェー軍レンジャーが参加した作戦は、アナコンダ作戦で、シールズおよびドイツ軍KSKと共に戦い、ガルディーズ南方で9日間に渡ってアルカイダ軍と戦闘を繰り広げた。作戦期間中、米軍航空機による航空支援を3回受けることができた。
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2011年07月20日
ニュージーランド特殊部隊 NZ-SAS
2001年10月25日、午前3時47分。ニュージーランド特殊部隊SASが、インド洋のジエゴ・ガルシア島に基地を設営し、活動を開始したと世界中のメディアから報道された。

しかし、この基地は、ニュージーランド単独のものではなく、イギリス軍がオマーンで行った大規模演習の一部分に間借りしていただけで、訓練内容も通常のものと変わらず、特にアフガニスタンを意識したものではなかった。当然、ニュージーランド政府は、アフガンに部隊を派遣しない旨を発表した。
しかし、発表からわずか1週間後の11月3日になると、この方針が一転し、政府は、アメリカからの要請を受け入れ、国際的反テロリズム同盟に加わり、艦船・輸送機を提供し、特殊部隊を派遣すると発表した。

この方針転換が、ジム・アンダートン政権を揺さぶる大事件となった。方針を翻したこともさることながら、首相がアフガニスタンでの自国の特殊部隊に関する情報の開示を断固として拒否したのだ。
この秘密主義は徹底していて、自身の支持政党にすら、情報を開示しなかった。政府幹部でアンダーソンの腹心でもあるヘレン・クラークは、「派遣した部隊は秘密部隊であります。つまり活動を行うには、秘密でなければなりません」。と、繰り返すばかりであった。
この秘密主義の単調な答弁に、野党は、「ニュージーランドSASの装備では、アフガニスタンでの戦闘に耐えられない」、と強烈に政府を批判した。これに対してアンダートンは、ニュージーランド空軍の装備は、十分にアフガニスタンの任務に耐えられると反論し、ペンタゴンに派遣した佐官級士官を、急遽、呼び戻して答弁にあたらせるなどしたが、国内メディアは、十分な予算および装備が部隊に届けられていないと報道したため、まったくの泥仕合となった。
結
局、2002年の総選挙で、アンダートンは大敗し、政権の座から追い出されることとなった。
そのような本国でのドタバタをよそに、ニュージーランド特殊部隊SASは、アフガニスタンでアメリカ軍とともに、着実に活動を行った。アンダートンは、最後まで、アフガニスタンに派遣している部隊の公式な人数を発表することはなかったが、おそらく30名程度が派遣され、2個部隊を編成していたと思われる。派遣された人員の多くが、直接戦闘には参加せず、アメリカ軍の補給任務に就いた。
しばしば報道されているように、ニュージーランドSASは、オーストラリアSASとは共同で作戦を行ってはいない。その根拠として、2つの部隊は別々の地域で活動しており、ニュージーランドSASは、バクラム周辺の米軍からは兵站は独立していたこと、さらにオーストラリア軍もカンダハル地域では独立して活動していたからである。

ここで、ニュージーランド軍とその特殊部隊の概略について解説すると、
ニュージーランド軍は、ニュージーランド総督を名目上の最高指揮官として、国防大臣が直接指揮をとる。現在の兵力は、陸海空合わせて9000人程度。ニュージーランド本土および経済水域の防衛および太平洋安全保障条約に基づく防衛協力、平和維持活動を主な任務としている。
ニュージーランドSASは、1954年に創設され、マレーシアで初陣を飾った。その10年後にはベトナム戦に参加した。1978年には、第1SAS大隊となり、1991年に湾岸戦争に参加した。現在は、120名の兵士で編成され、定期的にオーストラリア、イギリス軍と訓練を行っている。
次回更新は、7月27日「ノルウェー特殊部隊」です。お楽しみに。
ご意見、ご質問をお待ちしております。(資料もないのに、マイナー路線に進むのは、かなりツライ・・泣)
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しかし、この基地は、ニュージーランド単独のものではなく、イギリス軍がオマーンで行った大規模演習の一部分に間借りしていただけで、訓練内容も通常のものと変わらず、特にアフガニスタンを意識したものではなかった。当然、ニュージーランド政府は、アフガンに部隊を派遣しない旨を発表した。
しかし、発表からわずか1週間後の11月3日になると、この方針が一転し、政府は、アメリカからの要請を受け入れ、国際的反テロリズム同盟に加わり、艦船・輸送機を提供し、特殊部隊を派遣すると発表した。

この方針転換が、ジム・アンダートン政権を揺さぶる大事件となった。方針を翻したこともさることながら、首相がアフガニスタンでの自国の特殊部隊に関する情報の開示を断固として拒否したのだ。
この秘密主義は徹底していて、自身の支持政党にすら、情報を開示しなかった。政府幹部でアンダーソンの腹心でもあるヘレン・クラークは、「派遣した部隊は秘密部隊であります。つまり活動を行うには、秘密でなければなりません」。と、繰り返すばかりであった。
この秘密主義の単調な答弁に、野党は、「ニュージーランドSASの装備では、アフガニスタンでの戦闘に耐えられない」、と強烈に政府を批判した。これに対してアンダートンは、ニュージーランド空軍の装備は、十分にアフガニスタンの任務に耐えられると反論し、ペンタゴンに派遣した佐官級士官を、急遽、呼び戻して答弁にあたらせるなどしたが、国内メディアは、十分な予算および装備が部隊に届けられていないと報道したため、まったくの泥仕合となった。
結

そのような本国でのドタバタをよそに、ニュージーランド特殊部隊SASは、アフガニスタンでアメリカ軍とともに、着実に活動を行った。アンダートンは、最後まで、アフガニスタンに派遣している部隊の公式な人数を発表することはなかったが、おそらく30名程度が派遣され、2個部隊を編成していたと思われる。派遣された人員の多くが、直接戦闘には参加せず、アメリカ軍の補給任務に就いた。
しばしば報道されているように、ニュージーランドSASは、オーストラリアSASとは共同で作戦を行ってはいない。その根拠として、2つの部隊は別々の地域で活動しており、ニュージーランドSASは、バクラム周辺の米軍からは兵站は独立していたこと、さらにオーストラリア軍もカンダハル地域では独立して活動していたからである。

ここで、ニュージーランド軍とその特殊部隊の概略について解説すると、
ニュージーランド軍は、ニュージーランド総督を名目上の最高指揮官として、国防大臣が直接指揮をとる。現在の兵力は、陸海空合わせて9000人程度。ニュージーランド本土および経済水域の防衛および太平洋安全保障条約に基づく防衛協力、平和維持活動を主な任務としている。
ニュージーランドSASは、1954年に創設され、マレーシアで初陣を飾った。その10年後にはベトナム戦に参加した。1978年には、第1SAS大隊となり、1991年に湾岸戦争に参加した。現在は、120名の兵士で編成され、定期的にオーストラリア、イギリス軍と訓練を行っている。
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2011年07月13日
オーストラリア特殊空挺連隊 SASR
SASRの任務は、アルカイダおよびタリバン残党の掃討、および長距離偵察を行い、その情報を連合軍に情報を提供するであった。オーストラリアSASRは、いずれの任務にも長けており、特に、アナコンダ作戦のときにはその活躍は目を見張るものがあった。
捜索範囲が広くなるにつれ、SASRの編成も大規模なものとなり、最大で、偵察部隊だけで、240名、これに司令部および支援部隊(輸送、医療、通信および兵站)が加わり、総数、500名規模の大所帯となった。
アナコンダ作戦では、SASRは、シャハ・エ・コット付近のマルザクおよびズーマットの戦闘に投入された。この戦闘は、ベトナム戦争以来、経験したことがないほどの激戦であった。
アナコンダ作戦初期のロバート・リッジの戦いでは、アメリカ軍のSealsおよびレンジャー達が山頂で死闘を繰り広げている一方で、SASRは、標高1万メートル、気温マイナス19度の山腹に陣取り、アルカイダの拠点を爆撃機に連絡し続けた。
1957年に創設されたオーストラリア特殊空挺連隊は、そのルーツを第2次世界大戦のMからZ中隊まで遡ることができる。
ベトナム戦争が始まると、アメリカ軍の補助的な部隊として再編成され、1971年に撤退するまでベトナムに派遣された。ベトナムでは、「ジャングルのゴースト」と呼ばれ、ベトコンから恐れられ、最強部隊であることを誰もが認めるようになった。その20年後、SASRはソマリアに派遣され、モガデシオの武装勢力と対峙していたアメリカ軍およびオーストラリア歩兵大隊を支援した。
1999年9月、SASRは、「安定化」作戦で東ティモールに公式に派遣された最初のオーストラリア部隊となった。2000年のシドニーオリンピックの際には、様々な対テロリズム任務に就けるように、装備や予算などを大幅に増強された。これにより陸海空および市街戦に対応できるようになった。
現在SASRは、オーストラリア特殊部隊の中核をなす部隊で、パースに司令部を置き、隊員はすべて志願兵である。選抜にあたり(志願者の10パーセントしか合格しない)、志願者は、数年間の現役勤務を経なければならない。特殊空挺連隊は、現役の飛行隊および予備役部隊だけでなくオーストラリア陸軍第4連隊も含んでいる。
現在のSASRは、90名からなる「サーベル」飛行隊、および医療、輸送、整備および専門家の派遣などを行う支援部隊で編成されている。これらの中隊は、連隊司令部の指揮下にある。
3個サーベル飛行中隊は、3年間のサイクルで現役勤務と訓練期間を行う。訓練期間中は、隊員は、初年に新しい技術の習得および改善に取り組む。2年目には、さらに専門的な特殊任務、偵察、破壊工作、情報収集、また陸海共同作戦に参加する。3年目には、国際的な対テロリズムチームとして、「臨戦飛行隊」として24時間体制で警戒し、訓練と実際の任務を平行して行う。
SASR内の各飛行隊は、航空任務(パラシュート降下、ヘリコプターによる侵入あるいは戦術航空着陸)、陸海共同作戦(小艦艇、潜水艦およびカヌーによる侵入、閉鎖循環式呼吸用保護具の使用方法)、および(6軸長距離偵察車両を使った)陸上での作戦などに特化している。
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