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Posted by ミリタリーブログ  at 

2010年06月02日

特殊部隊到着 Special Forces arrived

2001年11月25日、午後2時。NGOの車両に見えるように白塗りされたランドローバー4台が、監獄のメインゲートから2キロほど離れた高台に停車した。停車するとすぐに、ガードナー中尉をはじめとするアメリカ特殊部隊およびイギリスSASの兵士が、車から出てきた。彼らの格好は、手にしているM4カービン以外は、アフガン・ムジャヒィディンそのものであった。

ガードナー中尉は、双眼鏡で監獄の様子を観察した。監獄の城壁には、AKを持ったタリバン兵が何人もいて、彼らは興奮しているのか、空に向けてAKを乱射していた。

「捕虜達は、武器を隠し持っていたとのことだが、それにしては多すぎないか。ほぼ全員、AKやらRPGを持っているぞ」。ガードナーは、傍らのクリス曹長に言った。

「ここまで来る途中、北部同盟の兵士に監獄について聞いたのですが、クライ・シャンギ監獄は、単なる遺跡ではなく、タリバン軍の武器・弾薬保管所だったそうです。無人だったのは、マザリ・シャリフ陥落の知らせに、守備兵が逃げていただけで、武器弾薬は、そのままだったのでしょう。奴らは、倉庫の鍵をこじ開けて、武器を手に入れたみたいですね」。とクリス曹長は答えた。

「つまり、重武装のタリバン軍600名が、人質をとって城塞に立てこもっている、ということか」。ガードナーは、ため息をついて言った。最悪の事態である。

そのとき、監獄の北側の城壁が土煙を上げて炸裂した。炸裂は何度も繰り返された。ガードナーが空を見上げると、迫撃弾がいくつも飛来しているのが見えた。「誰だ。こんなことをする奴は」。ガードナーが叫んだ瞬間、彼の衛星携帯電話が鳴った。

「同志、ガードナー。わが軍も同胞の救出に協力するぞ」。どうやら、置いてけぼりを食らったドスタム将軍が、監獄に向けて迫撃砲を撃たせているようである。

ガードナーは、苛立って、「将軍、監獄の中には、人質がいる。人質を傷つけないために、私の指示があるまで、攻撃しないでください」。そう言うと、一方的に電話を切った。

とはいえ、ドスタムがやったこともまんざら無駄でもなかった。突然の迫撃砲に、タリバン兵は恐れをなし、城塞の北側を放棄し、兵力を南側に集中した。すかさず、ドスタムの兵が城塞の北側を占領した。

「さて、どうやって人質を救出し、暴動を鎮圧するか・・・」。ガードナーは、監獄の城壁を眺めながらつぶやいた。

次回更新は、6月9日「攻撃開始1」です。お楽しみに。
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写真は、イメージです。

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Posted by 友清仁  at 07:03Comments(2)Story(物語)