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Posted by ミリタリーブログ  at 

2011年10月12日

ODA574 2

「あのオヤジを連れてゆくのは、いったいどうゆうことだ?」。 ジェイスン、ペティソリー両大尉は、CIA工作員キャスパーに詰め寄った。両人は、アシモフ大佐には分からないように英語で話した。

詰め寄られたキャスパーは、意外と言うような顔をして、「アシモフ大佐を連れて行けといったのは、君らの上官のマルホールドランド大佐だ。私は、カブールからここまで連れてきただけだ」。と反論した。

「すまないが、あのオヤジを乗せるスペースはない。暇つぶしにあのオヤジの話を聞くなら、ニンテンドーを持っていくほうがマシだ」。ペティソリーは、重ねて言った。

しかしキャスパーは、そんなことは上官に言え、と言わんばかりの顔でその場を立ち去ってしまった。残された2人は、アシモフに、「大佐、とりあえず荷物をあちらのテントへ」。と告げた。

ジェイスン、ペティソリーは、秘密基地の臨時司令官である、クリス・ミラー少佐に掛け合うことにした。しかし、クリス少佐も、この件に関しては何ともし難いという顔だった。

クリスによると、アシモフ大佐の件は、「文官」的軍人のマルホールランド大佐の独断らしい。マ大佐曰く、ODA555、595の華々しい成功の前に、ODA574が失敗することは許されない。ODA574の実力は確信しているものの、実戦経験豊富な?アシモフ大佐を付けることで磐石になる・・・。

どうやら、実戦経験のないマ大佐は、アシモフの武勇伝にすっかり魅了されてしまったようである。

さらに、航空戦力、特にヘリコプターが不足している在アフガン特殊部隊において、バグラム空軍基地、リノ基地ともに稼働しておらず、第160航空連隊のヘリはフル稼働状態であった。

一時的にせよ、ブラックホークを5機も手配できたのは、文官的軍人のマルホールランド大佐の、ずば抜けた調整能力のおかげであり、アシモフの件でモタモタしていると、ヘリコプター自体が他の任務にまわされてしまうとのことだった。

両大尉は、これ以上は無駄だと悟り、クリス少佐のテントを出た。「あのオヤジも軍人だ。戦力の足しにはなるだろう」。ジェイスンは、ペティソリーに言った。

2001年11月15日未明、カルザイとODA574を乗せたブラックホーク5機は、アフガン南部へ向けて漆黒の闇の中を離陸した。

しかし、軍事作戦にトラブルや想定外のことが起こることは、ある意味、想定しなければならない。ODA574も、作戦開始早々、想定外のことが起こるのである。


次回更新は、10月19日 「墜落」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 06:58Comments(2)Story(物語)