2012年02月29日
タリン・コットの戦い 7 Battle of Tarin Kowt
海兵隊のF-18が高高度へ去ると、ラービフが率いる迫撃砲部隊が、再び咆吼した。月明かりすらない新月の夜であったが、すでに火災を起こしているタリン・コットの街の位置ははっきりしており、再開された砲撃の命中制度は非常に高かった。
「攻略部隊を進めろ」。ラービフは命令した。すぐにAK47で武装したタリバン歩兵部隊が、迫撃砲の援護を背に、岩場や崖を縫うように、タリン・コットへヒタヒタと前進した。
一方、タリン・コットのODA574のメンバーたちである。海兵隊のF-18が飛来して、すぐに決着がつくと思っていたのだが、パイロットが敵の位置を把握できないため上空へ退避してしまい、再び砲撃が始まったことに、苛立ちを覚えていた。
「クソ、奴ら、考えやがったな」。
ペティソリー大尉は怒鳴った。すぐにCCTのウェスに、再度、空爆の要請をさせた。
「今度は、砲撃の火が見えなくても、爆弾を落とすように指示を出せ。座標もだいたいの位置でいい」。
数分後、再びF-18が飛来した。今度は、敵の位置を確認することなく、タリン・コットの南側に爆弾を落とした。街の南側は火の海となった。これで、迫撃砲は全滅したと思っていたが、F-18が去ると、再び砲撃が始まった。攻勢は弱まっていなかった。
前回と同じである。ラービフは、戦闘機の轟音が聞こえると、兵士を仮設のシェルターに隠して戦力を温存していたのである。そして戦闘機が去ると、再び砲撃を開始した。
そんなことが2~3回繰り返された。ペティソリーが4回目の空爆を要請したとき、「悪いが、こっちも在庫切れだ。すぐに応援がくる。それまで持ちこたえてくれ」。とF-18のパイロットからの返事であった。
F-18が轟音を残して去ると、タリバン歩兵部隊がAKの射程圏内まで近づいてきたのか、今度は銃撃戦が始まった。タリバンは、大兵力(500名くらい)を、タリン・コットの南部の入口に集中して、激しい攻撃を加えてきた。ODA574と自警団も、自然と南側に兵力を集中させた。ラービフも、攻撃部隊を直接指揮するべく、歩兵部隊の背後に司令部を移した。
ジェイスン大尉、マイク、ロニーらは、M4カービやSR25を手に、果敢に応戦した。もっとも、タリバン兵は、例のごとく岩場から銃だけ出す、「めくら撃ち」で、なかなか突撃してこない。
ジェイスン達は、ナイトフォース社の暗視スコープで狙い撃ちした。特に、グリーンベレーのマイクは、建物の屋根に登り、上からガンガン撃ち下ろし、一人、また一人とタリバン兵を倒していた。
「あの狙撃手が目障りだ。始末しろ」。
ラービフは、屋根の上でタリン・コットの火災を背に、くっきりと影を映して狙撃を繰り返すマイクを指して言った。すぐにRPG-7を数丁抱えた兵士が、前線に走った。
グリーンベレーのマイクは、狙撃を繰り返している。
「1人目・・・2人目・・・3人・・・」。狙撃を成功させるたび、つぶやいた。SR25のリコイルが肩に響く。すでにグリップを握る手に握力を感じなくなっている。
タリバンなど、所詮、雑軍である。ソ連軍が撃退されたのは、ムジャヒィデンが強かったのではなく、ソ連兵のサボタージュが原因だったのではないのかと、マイクは思った。10発撃って、マガジンを交換する時である。真正面に黄色い火炎が上がるのが見えた。
RPG7の榴弾ロケットが、1人屋根で狙撃していたマイクに、秒速500メートルのスピードで突っ込んでいった。その1秒後、マイクの足元に着弾したロケット弾は、大爆発を起こすと同時に高温高圧の火炎を吹き出してマイクの膝から下を焼き切ってしまった。
さらに榴弾の破片が、いばらのムチのようにマイクの全身を突き刺したのち、マイクの体を、まるで人形のように上空に舞い上げた。
次回更新は、3月7日「タリン・コットの戦い」です。お楽しみに。
ご意見・ご質問をお待ちしております。
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「攻略部隊を進めろ」。ラービフは命令した。すぐにAK47で武装したタリバン歩兵部隊が、迫撃砲の援護を背に、岩場や崖を縫うように、タリン・コットへヒタヒタと前進した。
一方、タリン・コットのODA574のメンバーたちである。海兵隊のF-18が飛来して、すぐに決着がつくと思っていたのだが、パイロットが敵の位置を把握できないため上空へ退避してしまい、再び砲撃が始まったことに、苛立ちを覚えていた。
「クソ、奴ら、考えやがったな」。
ペティソリー大尉は怒鳴った。すぐにCCTのウェスに、再度、空爆の要請をさせた。
「今度は、砲撃の火が見えなくても、爆弾を落とすように指示を出せ。座標もだいたいの位置でいい」。
数分後、再びF-18が飛来した。今度は、敵の位置を確認することなく、タリン・コットの南側に爆弾を落とした。街の南側は火の海となった。これで、迫撃砲は全滅したと思っていたが、F-18が去ると、再び砲撃が始まった。攻勢は弱まっていなかった。
前回と同じである。ラービフは、戦闘機の轟音が聞こえると、兵士を仮設のシェルターに隠して戦力を温存していたのである。そして戦闘機が去ると、再び砲撃を開始した。
そんなことが2~3回繰り返された。ペティソリーが4回目の空爆を要請したとき、「悪いが、こっちも在庫切れだ。すぐに応援がくる。それまで持ちこたえてくれ」。とF-18のパイロットからの返事であった。
F-18が轟音を残して去ると、タリバン歩兵部隊がAKの射程圏内まで近づいてきたのか、今度は銃撃戦が始まった。タリバンは、大兵力(500名くらい)を、タリン・コットの南部の入口に集中して、激しい攻撃を加えてきた。ODA574と自警団も、自然と南側に兵力を集中させた。ラービフも、攻撃部隊を直接指揮するべく、歩兵部隊の背後に司令部を移した。
ジェイスン大尉、マイク、ロニーらは、M4カービやSR25を手に、果敢に応戦した。もっとも、タリバン兵は、例のごとく岩場から銃だけ出す、「めくら撃ち」で、なかなか突撃してこない。
ジェイスン達は、ナイトフォース社の暗視スコープで狙い撃ちした。特に、グリーンベレーのマイクは、建物の屋根に登り、上からガンガン撃ち下ろし、一人、また一人とタリバン兵を倒していた。
「あの狙撃手が目障りだ。始末しろ」。
ラービフは、屋根の上でタリン・コットの火災を背に、くっきりと影を映して狙撃を繰り返すマイクを指して言った。すぐにRPG-7を数丁抱えた兵士が、前線に走った。
グリーンベレーのマイクは、狙撃を繰り返している。
「1人目・・・2人目・・・3人・・・」。狙撃を成功させるたび、つぶやいた。SR25のリコイルが肩に響く。すでにグリップを握る手に握力を感じなくなっている。
タリバンなど、所詮、雑軍である。ソ連軍が撃退されたのは、ムジャヒィデンが強かったのではなく、ソ連兵のサボタージュが原因だったのではないのかと、マイクは思った。10発撃って、マガジンを交換する時である。真正面に黄色い火炎が上がるのが見えた。
RPG7の榴弾ロケットが、1人屋根で狙撃していたマイクに、秒速500メートルのスピードで突っ込んでいった。その1秒後、マイクの足元に着弾したロケット弾は、大爆発を起こすと同時に高温高圧の火炎を吹き出してマイクの膝から下を焼き切ってしまった。
さらに榴弾の破片が、いばらのムチのようにマイクの全身を突き刺したのち、マイクの体を、まるで人形のように上空に舞い上げた。
次回更新は、3月7日「タリン・コットの戦い」です。お楽しみに。
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