2011年03月02日
タクール・ハーの戦い Takur Ghar 14
しばらくの間、山頂に静寂が戻った。否、完全な静寂ではなく50メートル先では、アルカイダ兵が盛んに怒鳴っている声は聞こえた。しかし今まで激しく銃声が鳴っていたのに比べると、信じられないくらい静かだった。
セルフ大尉は、チヌークの負傷者を安全な場所、つまり隠れている岩場よりもさらに下へ運ぶための準備に取り掛かった。手始めとして敵情を探ろうと岩場の影からタコツボを見た。
タコツボの向こう側で、なにやらオリーブドラブ色のものがちらちらと見えた。セルフは、はじめは、付近に生えている松の木の枝に見え、おそらくタコツボの修理をしているのだろうと思ったが、しばらく見ていると、長い銃身のようなものが見えた。それが、大きなマズルブレーキが特徴の旧ソ連製対空砲、ZU-23-2と分かるまで時間はかからなかった。
「司令部へ報告。敵塹壕に旧ソ連製対空砲が1門あり。接近するチヌークは注意せよ」。セルフ大尉は無線で怒鳴った。すぐに司令部から、「プレデターの画像からは確認できない。詳細を報告せよ」。と返ってきた。おそらく対空砲陣地は、上空からは分からぬように、たくみにカモフラージュされているのだろう。
※先の映像でのインタビューで、ハーゲンベック将軍は、「いかなる空からの攻撃からも守られていた」。と言っています。
「ちょうど、タコツボ脇のボンサイの陰に隠れている。我々の戦力だけでは制圧・占拠は不可能。プレデターのヘルファイアロケット弾で破壊するのが良策です」。と、セルフは進言した。
だが司令部のハーゲンベック将軍は、「ヘルファイアでの攻撃は、誤爆の危険性があるので却下する。大尉は、負傷者の搬出と敵情の報告をせよ」。と返してきた。この司令部の対応に、ついにセルフ大尉の怒りが爆発した。
「将軍は、誤爆の危険性を強調されますが、今より危険な状況はない!!今、対空砲を叩かなければ、我々も、そして救援のレーザー02も撃ち落される。すぐにミサイルを撃ってくれ」。
この無線はガルディーズの司令部いっぱいに響いた。ハーゲンベック将軍の周囲の参謀たちも、どのように対応するべきか気まずい雰囲気が漂った。やがて「大尉、今の発言は聞かなかったことにする。貴官は引き続き負傷者の搬入を行え」。とハーゲンベックは静かに言った。
一方、救援部隊のレーザー02である。このヘリには、オスカー・エスカーノ大尉を隊長としたレンジャー16名が乗っていた。この部隊の任務は、セルフ大尉たちの救出である。救出作戦の概要は以下のとおりである。
1.セルフ大尉たちの後方500mの付近に懸垂降下する。
2.セルフ隊を合流し、付近の安全を確保し、負傷者および死傷者を1000mほど後方へ運ぶ。
3.チヌークで脱出する。
再び敵前にチヌークの巨体をさらすことは、重ねて敵のRPGの餌食になるのではと考えてしまうが、RPG-7の命中射程は、熟練の兵士で300m程度、アルカイダのゲリラ兵士なら100mを切っていた。それに対し、チヌーク搭載のM134ミニガンは、600mである。チヌークの左右のミニガンでタコツボを掃射すれば、RPGの脅威はたいしたことではなかった。
懸垂降下の間がいちばん無防備であるが、レンジャー16名が降下に要する時間は、わずか1分程度であり、M134の掃射で十分に安全が確保できる。しかし、司令部もレーザー02のレンジャーも、敵陣地に対空砲があることを知らなかった。
次回更新は、3月9日「タクール・ハーの戦い」です。お楽しみに。
ご意見、ご質問をお待ちしております。

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セルフ大尉は、チヌークの負傷者を安全な場所、つまり隠れている岩場よりもさらに下へ運ぶための準備に取り掛かった。手始めとして敵情を探ろうと岩場の影からタコツボを見た。
タコツボの向こう側で、なにやらオリーブドラブ色のものがちらちらと見えた。セルフは、はじめは、付近に生えている松の木の枝に見え、おそらくタコツボの修理をしているのだろうと思ったが、しばらく見ていると、長い銃身のようなものが見えた。それが、大きなマズルブレーキが特徴の旧ソ連製対空砲、ZU-23-2と分かるまで時間はかからなかった。
「司令部へ報告。敵塹壕に旧ソ連製対空砲が1門あり。接近するチヌークは注意せよ」。セルフ大尉は無線で怒鳴った。すぐに司令部から、「プレデターの画像からは確認できない。詳細を報告せよ」。と返ってきた。おそらく対空砲陣地は、上空からは分からぬように、たくみにカモフラージュされているのだろう。
※先の映像でのインタビューで、ハーゲンベック将軍は、「いかなる空からの攻撃からも守られていた」。と言っています。
「ちょうど、タコツボ脇のボンサイの陰に隠れている。我々の戦力だけでは制圧・占拠は不可能。プレデターのヘルファイアロケット弾で破壊するのが良策です」。と、セルフは進言した。
だが司令部のハーゲンベック将軍は、「ヘルファイアでの攻撃は、誤爆の危険性があるので却下する。大尉は、負傷者の搬出と敵情の報告をせよ」。と返してきた。この司令部の対応に、ついにセルフ大尉の怒りが爆発した。
「将軍は、誤爆の危険性を強調されますが、今より危険な状況はない!!今、対空砲を叩かなければ、我々も、そして救援のレーザー02も撃ち落される。すぐにミサイルを撃ってくれ」。
この無線はガルディーズの司令部いっぱいに響いた。ハーゲンベック将軍の周囲の参謀たちも、どのように対応するべきか気まずい雰囲気が漂った。やがて「大尉、今の発言は聞かなかったことにする。貴官は引き続き負傷者の搬入を行え」。とハーゲンベックは静かに言った。
一方、救援部隊のレーザー02である。このヘリには、オスカー・エスカーノ大尉を隊長としたレンジャー16名が乗っていた。この部隊の任務は、セルフ大尉たちの救出である。救出作戦の概要は以下のとおりである。
1.セルフ大尉たちの後方500mの付近に懸垂降下する。
2.セルフ隊を合流し、付近の安全を確保し、負傷者および死傷者を1000mほど後方へ運ぶ。
3.チヌークで脱出する。
再び敵前にチヌークの巨体をさらすことは、重ねて敵のRPGの餌食になるのではと考えてしまうが、RPG-7の命中射程は、熟練の兵士で300m程度、アルカイダのゲリラ兵士なら100mを切っていた。それに対し、チヌーク搭載のM134ミニガンは、600mである。チヌークの左右のミニガンでタコツボを掃射すれば、RPGの脅威はたいしたことではなかった。
懸垂降下の間がいちばん無防備であるが、レンジャー16名が降下に要する時間は、わずか1分程度であり、M134の掃射で十分に安全が確保できる。しかし、司令部もレーザー02のレンジャーも、敵陣地に対空砲があることを知らなかった。
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作戦終了 Over the Operation
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ネプチューン・スピアー Neptune spear 7
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