2014年01月15日
コードワード:ジョロニモ Code word GERONIMO 2
チーム・アルファ
アルファチームのリーダー、ソルベスキー軍曹は、破壊された壁を越えると、母屋へ向かわずに、右側面のカバーに入った。一瞬先に侵入したシェパード犬が、ソルベスキーに近づき、「敵なし」と言わんばかりに、バウバウと吠えた。このエリアに守備兵はいないようだった。
「ベータチーム、侵入せよ!」 ソルベスキーは、トラップエリアにかたまっているベータチームに怒鳴った。続々とベータの隊員が母屋のエリアに入ってきた。
突入チームは、迷うことなく母屋の入口に殺到する。リーダーのトロイが、玄関のドアノブに手をかけると、案の定、鍵がかかっている。
「ロックド・ドアー」 トロイが叫ぶと、背後から、鍵破壊用の特殊な弾丸を装填したショットガンを持つメンバーが現れ、ずどん、ずとん、と要領よくドアノブの上下に弾丸を撃ち込む。トロイがドアを蹴り上げると、簡単に開いた。背後のメンバーが滑るように侵入する。
地上からの侵入作戦は、チーム全員で制圧作戦をするため、母屋に突入する人員が多い。1階、2階、3階にそれぞれ担当するチームが編成されている。トロイは3階を制圧するチームである。
1階は、リビングルームのようになっており、あまり部屋がなかった。そのため、あっという間に制圧された。1階は、召使や守備兵の家族が住んでいるようで、全く抵抗がなかった。彼らは全員、後ろ手に簡易手錠をかけられ、建物の外に連れ出された。そして、ひとりひとり、氏名や立場を尋問された。
「階段を探せ!」
トロイは、突入メンバーに指示した。すぐに、ナイトビジョンのライムグリーンの視界の中に、階段の手すりが見えた。
「気をつけろ」 トロイは、メンバーに怒鳴る。階段は、室内戦闘で最も危険な場所である。
メンバーが、踊り場まで進むと、2階に向けて、フラッシュバンを投げ込む。爆発音と同時に階段を駆け上がる。予想通り、待ち伏せしていた敵がいたが、閃光と爆発で放心状態であった。しかし、銃を持っていたため、すぐにシールズは、射殺した。
2階の廊下が制圧されたことが確認されると、2階を担当するメンバーが次々と部屋のクリアリングを開始した。すでに奇襲攻撃ではなくなったため、クリアリングは、部屋にフラッシュバンを投げ込み、その後、各部屋へ突入する。
敵も待ち構えて銃を撃つが、フラッシュが効いているのか、それとも暗闇で見えないのか、見当違いの方向ばかり撃っていた。シールズは、冷静に敵を射殺していった。
シールズが装備しているHK416にはサプレッサーが装備されているため、トク、トク、トクっと、まるで安物のドラムを叩いているような音が室内に響いた。
やがて、2階制圧チームから、「セコンドフロアー、クリア。敵戦死、5名。ジェロニモなし」。報告が上がる。いよいよ3階担当の、トロイ・ロバーツ軍曹のチームの出番である。
建物の階段は、3階まで吹き抜けになっているようだった。トロイが手すりの狭い隙間から3階を仰ぎ見ると、見覚えのある顔が、ライムグリーンの視界に現れた。ビンラディンである。
「ジェロニモは3階にいる!!総員、突入!!」 トロイは叫んだ。
アボタバード警察 署長室
アボタバード警察署長のナセル・アブドルザラク・アブドルバクィは、この夜、所長室のソファで寝ていた。理由は、数時間前にビンラディンの使者がやってきて、新しい屋敷を手配することと、明日の早朝、屋敷で詳細を指示するとのことであった。
ビンラディンは、逃亡生活を送っているせいか、事前の連絡もなく訪問することや約束の時間に遅れることを病的に嫌がった。そのため、ナセルは遅刻しないように、家に帰らず、屋敷の近くの警察署に泊まっていたのだ。
イスラム教で禁じられている酒を少し飲んで、ウトウトしかけたときである。机の上の電話が鳴った。せっかくの安眠を妨げられたナセルは、イライラしつつ電話に出た。電話の相手は、パキスタン空軍の当直士官であった。
「今夜、アフガニスタンから、我国に向かって、正体不明の飛行物体がレーダーに映っていたのだが、アボタバード付近で、急に消えた。そちらに何か異常はないか?」
当直士官の質問に、ナセルは、その飛行物体の正体が何であるか、すぐに分かった。
パキスタンの官吏として、知っていることを報告しようかと思ったが・・・止めた。アメリカ軍が襲撃作戦を決行したのであれば、ほぼ間違いなく成功するだろう・・・・。今はビンラディンの身よりも自分の立場の方が大切だ。
「こちらに異常はありませんが、チャシュマ原子力発電所を狙っているテロリストがいるという噂は聞いたことがあります」。と、とっさに嘘をついた。当直士官は、「了解」、とだけ答え、電話を切った。ナセルも受話器を置くと、家に帰ることにした。アメリカ軍が作戦を決行したのだ。ビンラディンは、明日の朝まで生きていまい・・・
次回更新は、1月22日「コードワード:ジョロニモ」です。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
写真が2週続けてZDTってところが・・・・笑
今後の即売会出店予定
1/19 コミックとレジャー22 (インテックス大阪) 5号館 キ-09b
1/26 コミックシティ東京133 (東京ビックサイト) 東5ホール か14a
2/2 東京コミティア106 (東京ビックサイト) 東5ホール R14b
2/9 サンシャインクリエイション62 (池袋サンシャインシティ) A23ホール K01a
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同人誌も発行しております。こちらもどうぞ。同人誌書店COMIC ZIN通販ページと 虎の穴通販ページに飛びます。(購入には会員登録が必要です。)
私の訳書(共訳・監修)です。よろしかったらお読みください。
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アルファチームのリーダー、ソルベスキー軍曹は、破壊された壁を越えると、母屋へ向かわずに、右側面のカバーに入った。一瞬先に侵入したシェパード犬が、ソルベスキーに近づき、「敵なし」と言わんばかりに、バウバウと吠えた。このエリアに守備兵はいないようだった。
「ベータチーム、侵入せよ!」 ソルベスキーは、トラップエリアにかたまっているベータチームに怒鳴った。続々とベータの隊員が母屋のエリアに入ってきた。
突入チームは、迷うことなく母屋の入口に殺到する。リーダーのトロイが、玄関のドアノブに手をかけると、案の定、鍵がかかっている。
「ロックド・ドアー」 トロイが叫ぶと、背後から、鍵破壊用の特殊な弾丸を装填したショットガンを持つメンバーが現れ、ずどん、ずとん、と要領よくドアノブの上下に弾丸を撃ち込む。トロイがドアを蹴り上げると、簡単に開いた。背後のメンバーが滑るように侵入する。
地上からの侵入作戦は、チーム全員で制圧作戦をするため、母屋に突入する人員が多い。1階、2階、3階にそれぞれ担当するチームが編成されている。トロイは3階を制圧するチームである。
1階は、リビングルームのようになっており、あまり部屋がなかった。そのため、あっという間に制圧された。1階は、召使や守備兵の家族が住んでいるようで、全く抵抗がなかった。彼らは全員、後ろ手に簡易手錠をかけられ、建物の外に連れ出された。そして、ひとりひとり、氏名や立場を尋問された。
「階段を探せ!」
トロイは、突入メンバーに指示した。すぐに、ナイトビジョンのライムグリーンの視界の中に、階段の手すりが見えた。
「気をつけろ」 トロイは、メンバーに怒鳴る。階段は、室内戦闘で最も危険な場所である。
メンバーが、踊り場まで進むと、2階に向けて、フラッシュバンを投げ込む。爆発音と同時に階段を駆け上がる。予想通り、待ち伏せしていた敵がいたが、閃光と爆発で放心状態であった。しかし、銃を持っていたため、すぐにシールズは、射殺した。
2階の廊下が制圧されたことが確認されると、2階を担当するメンバーが次々と部屋のクリアリングを開始した。すでに奇襲攻撃ではなくなったため、クリアリングは、部屋にフラッシュバンを投げ込み、その後、各部屋へ突入する。
敵も待ち構えて銃を撃つが、フラッシュが効いているのか、それとも暗闇で見えないのか、見当違いの方向ばかり撃っていた。シールズは、冷静に敵を射殺していった。
シールズが装備しているHK416にはサプレッサーが装備されているため、トク、トク、トクっと、まるで安物のドラムを叩いているような音が室内に響いた。
やがて、2階制圧チームから、「セコンドフロアー、クリア。敵戦死、5名。ジェロニモなし」。報告が上がる。いよいよ3階担当の、トロイ・ロバーツ軍曹のチームの出番である。
建物の階段は、3階まで吹き抜けになっているようだった。トロイが手すりの狭い隙間から3階を仰ぎ見ると、見覚えのある顔が、ライムグリーンの視界に現れた。ビンラディンである。
「ジェロニモは3階にいる!!総員、突入!!」 トロイは叫んだ。
アボタバード警察 署長室
アボタバード警察署長のナセル・アブドルザラク・アブドルバクィは、この夜、所長室のソファで寝ていた。理由は、数時間前にビンラディンの使者がやってきて、新しい屋敷を手配することと、明日の早朝、屋敷で詳細を指示するとのことであった。
ビンラディンは、逃亡生活を送っているせいか、事前の連絡もなく訪問することや約束の時間に遅れることを病的に嫌がった。そのため、ナセルは遅刻しないように、家に帰らず、屋敷の近くの警察署に泊まっていたのだ。
イスラム教で禁じられている酒を少し飲んで、ウトウトしかけたときである。机の上の電話が鳴った。せっかくの安眠を妨げられたナセルは、イライラしつつ電話に出た。電話の相手は、パキスタン空軍の当直士官であった。
「今夜、アフガニスタンから、我国に向かって、正体不明の飛行物体がレーダーに映っていたのだが、アボタバード付近で、急に消えた。そちらに何か異常はないか?」
当直士官の質問に、ナセルは、その飛行物体の正体が何であるか、すぐに分かった。
パキスタンの官吏として、知っていることを報告しようかと思ったが・・・止めた。アメリカ軍が襲撃作戦を決行したのであれば、ほぼ間違いなく成功するだろう・・・・。今はビンラディンの身よりも自分の立場の方が大切だ。
「こちらに異常はありませんが、チャシュマ原子力発電所を狙っているテロリストがいるという噂は聞いたことがあります」。と、とっさに嘘をついた。当直士官は、「了解」、とだけ答え、電話を切った。ナセルも受話器を置くと、家に帰ることにした。アメリカ軍が作戦を決行したのだ。ビンラディンは、明日の朝まで生きていまい・・・
次回更新は、1月22日「コードワード:ジョロニモ」です。
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写真が2週続けてZDTってところが・・・・笑
今後の即売会出店予定
1/19 コミックとレジャー22 (インテックス大阪) 5号館 キ-09b
1/26 コミックシティ東京133 (東京ビックサイト) 東5ホール か14a
2/2 東京コミティア106 (東京ビックサイト) 東5ホール R14b
2/9 サンシャインクリエイション62 (池袋サンシャインシティ) A23ホール K01a
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作戦終了 Over the Operation
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ネプチューン・スピアー Neptune spear 7
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