楽しみながら強くなれる!田村装備開発(株)の『ガチタマTV』!
2011年09月14日
第5特殊作戦群の人々 Men in 5th SFG 2
マルホールランド大佐から、一足先にフロリダ州のタンパにある、中央特殊作戦軍司令部に入るように指示されたクリス・ミラー少佐は、その日のうちに、空軍のタンパ行きの定期貨物輸送機に飛び乗った。
司令部付の佐官ともなれば、専用機を要請して移動することもできるのだが、長年、戦場を渡り歩いてきたミラー少佐は、高級将校用の「豪華で快適な」専用機よりも、輸送機の「堅い」シートの方が好きだった。
翌朝、ミラー少佐は、タンパの中央作戦軍司令部に入った。輸送機から降りるとすぐに、マルホールドランドから連絡を受けた曹長が、ミラーに許可証とパスワードを手渡し、「こちらへどうぞ」。と案内した。
司令部の正面入り口を過ぎると、その後は、嫌というぐらい許可証の提示とパスワードの入力が求められた。やがて、ミラーは、特殊作戦研究班のケリー少佐の部屋の前にたどり着いた。
ミラー少佐が部屋に入ると、特殊作戦研究班主席のロバート・ケリー少佐は、難しそうな顔をして、コンピュータのスクリーンを見ていたが、ミラーがドアのそばに立っていることに気付くと、「クリス!どうやってここまで入ってきた?」。と驚きを隠せずに言った。「警備兵をぶっ飛ばして、暗号を解読してきたのさ」、ミラーは答えた。
ミラー少佐と同期のケリー少佐は、士官学校を修了すると、5年ほど部隊勤務をした後、不正規戦を行う特殊部隊の研究部門に配属され、以来ずっと研究畑にいた。マルホールランド大佐と同じ、「文官」的軍人で、軍幹部が疑問視していた不正規戦を行う特殊部隊の重要性を説き、その創設に携わった。
ケリー少佐の「不正規戦特殊部隊」とは、冷戦終結後の地域紛争には、従来の正規軍では対応できない。限定された戦場で、限定された戦力で戦う必要があり、それを可能とする部隊である。
しかし、不正規戦を行う特殊部隊の創設に至る道は、決して平坦なものではなかった。つまり、すでにグリーンベレーという特殊部隊があるうえで、不正規戦に特化した特殊部隊を作るという、ケリー少佐の主張は、軍幹部にはなかなか理解してもらえなかった。
軍幹部は、不正規戦特殊部隊の予算は特殊部隊予算の中から捻出するものとし、特別の予算をつけてくれなかった。ケリー少佐は予算獲得のため、特殊部隊幹部を説得した。
しかし、ケリーの説明を受けたある幹部の反応は、「軍人が外国の文化や言葉を学んでどうする?君は特殊部隊をカルチャーセンターにするつもりか?そんなものに予算をつけるなら、野砲の1門でも買った方が、よっぽど戦闘を有利に進められると思わんかね?」
特殊部隊幹部の中には、ケリー少佐に戦場経験がないことを理由に、「笑止」として話すら聞かない者もいたが、当時、特殊部隊すべてを統括していた特殊作戦軍指令ピーター・シューメーカー(Peter J. Schoomaker)大将は、ケリー少佐を自室に呼んで、
「君の主張は間違っていない。不正規戦は目に見える戦いではない。不正規戦用の特殊部隊を養成するのは、たとえば、車を絶えず最高の状態にメンテナンスしておくことに似て、特殊部隊のスキルを衰えさせないために絶対に必要だ」。と言った。以後、陰ながらケリー少佐の力になってくれた。
それ以後も、さまざまな障害や妨害があったものの、2000年に特殊作戦軍が創設された。今回の同時多発テロこそが、自分の主張の正当性を裏付ける最高の機会だと、ロバート・ケリー少佐は考えていた。
次回更新は、9月21日「ピーター・シューメーカー」です。お楽しみ。
ご意見・ご質問をお待ちしております。

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司令部付の佐官ともなれば、専用機を要請して移動することもできるのだが、長年、戦場を渡り歩いてきたミラー少佐は、高級将校用の「豪華で快適な」専用機よりも、輸送機の「堅い」シートの方が好きだった。
翌朝、ミラー少佐は、タンパの中央作戦軍司令部に入った。輸送機から降りるとすぐに、マルホールドランドから連絡を受けた曹長が、ミラーに許可証とパスワードを手渡し、「こちらへどうぞ」。と案内した。
司令部の正面入り口を過ぎると、その後は、嫌というぐらい許可証の提示とパスワードの入力が求められた。やがて、ミラーは、特殊作戦研究班のケリー少佐の部屋の前にたどり着いた。
ミラー少佐が部屋に入ると、特殊作戦研究班主席のロバート・ケリー少佐は、難しそうな顔をして、コンピュータのスクリーンを見ていたが、ミラーがドアのそばに立っていることに気付くと、「クリス!どうやってここまで入ってきた?」。と驚きを隠せずに言った。「警備兵をぶっ飛ばして、暗号を解読してきたのさ」、ミラーは答えた。
ミラー少佐と同期のケリー少佐は、士官学校を修了すると、5年ほど部隊勤務をした後、不正規戦を行う特殊部隊の研究部門に配属され、以来ずっと研究畑にいた。マルホールランド大佐と同じ、「文官」的軍人で、軍幹部が疑問視していた不正規戦を行う特殊部隊の重要性を説き、その創設に携わった。
ケリー少佐の「不正規戦特殊部隊」とは、冷戦終結後の地域紛争には、従来の正規軍では対応できない。限定された戦場で、限定された戦力で戦う必要があり、それを可能とする部隊である。
しかし、不正規戦を行う特殊部隊の創設に至る道は、決して平坦なものではなかった。つまり、すでにグリーンベレーという特殊部隊があるうえで、不正規戦に特化した特殊部隊を作るという、ケリー少佐の主張は、軍幹部にはなかなか理解してもらえなかった。
軍幹部は、不正規戦特殊部隊の予算は特殊部隊予算の中から捻出するものとし、特別の予算をつけてくれなかった。ケリー少佐は予算獲得のため、特殊部隊幹部を説得した。
しかし、ケリーの説明を受けたある幹部の反応は、「軍人が外国の文化や言葉を学んでどうする?君は特殊部隊をカルチャーセンターにするつもりか?そんなものに予算をつけるなら、野砲の1門でも買った方が、よっぽど戦闘を有利に進められると思わんかね?」
特殊部隊幹部の中には、ケリー少佐に戦場経験がないことを理由に、「笑止」として話すら聞かない者もいたが、当時、特殊部隊すべてを統括していた特殊作戦軍指令ピーター・シューメーカー(Peter J. Schoomaker)大将は、ケリー少佐を自室に呼んで、
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作戦終了 Over the Operation
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ネプチューン・スピアー Neptune spear 7
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