2012年01月11日
タリン・コットの戦い 3 battle of Tarin Kowt
カルザイとODA574の一行は、トヨタのピックアップトラックに乗って、タリン・コットに向かった。運転席には、ウェスとカルザイが乗り、荷台には、ジェイスン、ペティソリー、メディックのケン、CCTのアレックスが乗っていた。そしてなぜかアシモフ大佐もついてきた。
ピックアップトラックの荷台には、M240マシンガンが取り付けられ、アレックスがガンナーを務めていた。ウルズガン州は、ルシュディーの軍閥が全滅して以来、大きな勢力はなくなり攻撃を受けることもないのだが、油断はできない。
やがて、車は、タリン・コットの近くまで来た。タリン・コットは1万人近い都市である。遠目に見ても、民家が密集していることがわかる。すでに連絡が行っているため、街にはすんなりと入れた。
ODA574の一行がタリン・コットに入ると、すぐに街を統治している代表者であり、警察署長でもあるガッサーンが現れ、街の警察署へ導かれた。街は特に変わった様子はなかった。タリバン軍閥がいなくなっても、秩序は維持されているらしい。
代表者のガッサーンが言うには、もともと、タリン・コットはパシュトゥーン人が大半を占める街で、支配層として、わずかなジク人がタリバンとして君臨していたそうである。従って、タリバンが出て行けば、必然的に、パシュトゥーン人の政権になるため、さほど混乱は起きないのも当然である。
警察署の会議室には、すでにタリン・コットの有力者だけでなく、付近の村の軍閥の族長なども集まっていた。カルザイが上座に座ると、すぐに今後の方針についての話し合いが始まった。
様々な意見が出た。
「まずは、兵士を集めて軍隊を組織しよう」。「アメリカから物資の援助を受けたい」。「直ちに南部のカンダハルを攻略しよう」・・・などなどである。
しかし、アフガン人には、協調というか話し合いで物事を決定するという習慣がないのか、次々と意見がでて、会議はいつ終わるともしれなかった。そんな会議を、カルザイは黙って聞いている。
「こんなことなら、ニンテンドーを持ってくるべきだった」。別室で待機しているペティソリーが愚痴ると、ジェイスンも同感であるというような顔をした。
それを見ていたアシモフ大佐は、「アメリカ人よ。アフガン人というものはだな・・・」と語り始めると、ペティソリーは、「あーっ、急用を思い出した。大佐、そのお話は、後ほど、改めてお聞きします」。そう言って、部屋から出ようとした。
その時である。タリン・コットの見張り兵が、叫びながら建物に入ってきた。「南部のカンダハルから、タリバン軍が侵攻してきています。車両の数は、100台以上!」。
会議室は、すぐに沈黙し緊張が走ったが、ODA574のメンバーの目は輝いた。ジェイスンは、嬉しそうに口笛を吹いた。
次回更新は、1月18日「タリン・コットの戦い」です。お楽しみに。
ご意見・ご感想をお待ちしております。

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ピックアップトラックの荷台には、M240マシンガンが取り付けられ、アレックスがガンナーを務めていた。ウルズガン州は、ルシュディーの軍閥が全滅して以来、大きな勢力はなくなり攻撃を受けることもないのだが、油断はできない。
やがて、車は、タリン・コットの近くまで来た。タリン・コットは1万人近い都市である。遠目に見ても、民家が密集していることがわかる。すでに連絡が行っているため、街にはすんなりと入れた。
ODA574の一行がタリン・コットに入ると、すぐに街を統治している代表者であり、警察署長でもあるガッサーンが現れ、街の警察署へ導かれた。街は特に変わった様子はなかった。タリバン軍閥がいなくなっても、秩序は維持されているらしい。
代表者のガッサーンが言うには、もともと、タリン・コットはパシュトゥーン人が大半を占める街で、支配層として、わずかなジク人がタリバンとして君臨していたそうである。従って、タリバンが出て行けば、必然的に、パシュトゥーン人の政権になるため、さほど混乱は起きないのも当然である。
警察署の会議室には、すでにタリン・コットの有力者だけでなく、付近の村の軍閥の族長なども集まっていた。カルザイが上座に座ると、すぐに今後の方針についての話し合いが始まった。
様々な意見が出た。
「まずは、兵士を集めて軍隊を組織しよう」。「アメリカから物資の援助を受けたい」。「直ちに南部のカンダハルを攻略しよう」・・・などなどである。
しかし、アフガン人には、協調というか話し合いで物事を決定するという習慣がないのか、次々と意見がでて、会議はいつ終わるともしれなかった。そんな会議を、カルザイは黙って聞いている。
「こんなことなら、ニンテンドーを持ってくるべきだった」。別室で待機しているペティソリーが愚痴ると、ジェイスンも同感であるというような顔をした。
それを見ていたアシモフ大佐は、「アメリカ人よ。アフガン人というものはだな・・・」と語り始めると、ペティソリーは、「あーっ、急用を思い出した。大佐、そのお話は、後ほど、改めてお聞きします」。そう言って、部屋から出ようとした。
その時である。タリン・コットの見張り兵が、叫びながら建物に入ってきた。「南部のカンダハルから、タリバン軍が侵攻してきています。車両の数は、100台以上!」。
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作戦終了 Over the Operation
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いつも楽しみに読ませていただいております。
大変恐縮ですが、自分のブログにリンクを
張らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
コメント、ありがとうございます。リンクの件、こちらこそ、お願いします。
同じ長野県同士、仲良くしてください。
ありがとうございます。