2012年05月23日

掃討戦 extermination2

12月5日早朝、ティモシー・クロスビー空軍中佐は、戦略爆撃機B52ストラトフォートレス(Stratofortress:成層圏の要塞)の操縦桿を握り、インド洋に浮かぶディエゴ・ガルシア基地から発進した。

B52は、全長48メートル、全幅56メートルという、その巨大な機体のため、急上昇ができない。離陸後、ゆっくりと旋回しなから、高度1万2000メートルまで上昇させなければならない。

B52には、クロスビー中佐のほかに副操縦士、航空ナビゲーター、レーダー要員、そして電子戦曹長が搭乗していた。クロスビーは、彼らと長く時間を共有しており、もはや家族同然であった。

「アフガニスタン上空の到着予定時刻は、12時ちょうどです。当地の天候は晴れ。気流も安定しているようです」。副操縦士のハリス大尉が報告した。

アフガニスタン戦争が始まって以来、インド洋のディエゴ・ガルシア基地には、10機のB52とB1、B2爆撃機が若干数配備され、それらが毎日のように基地を発進していた。

この飛行部隊の任務は、アフガニスタンの地上部隊に兵器や食料を投下し、間接的に地上部隊を支援することである。クロスビー飛行隊は、配備されてから、わずか2ヶ月足らずだが、すでに12回も出撃し、今回が13回目の出撃であった。

「今回、投下するのは、珍しく爆弾なんだな」。クロスビーがつぶやいた。いままで、食料や反戦ビラばかりで、さほど重量がなかったのだが、今回は30トン近い爆弾である。機体を操る操縦桿が重い感触であった。

「やっと我々の本来の任務です。我々は戦略爆撃機ですからね。爆弾を落とすのが仕事で、ビラなんかは、AC130がやるべきです」。ハリスは息を弾ませて言った。

「あんまり気負うなよ。マンハッタンの1区画に落とすならまだしも、アフガンの砂漠に落とすんだ。さして難しくない退屈な任務だ」。クロスビーはぼやいた。
そんな会話をいくつか繰り返した後、B-52は、アフガニスタンへ向け機首を北へ向けた。


次回更新は、5月30日「B-52ストラトフォートレス」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:00 │Comments(0)Story(物語)

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