2013年12月25日
ネプチューン・スピアー Neptune spear 6
この隠れ家の存在をアメリカに突き止められた。タレクに起こった事件から、ビンラディンは直感した。すぐに、この地の警察署長で、部下のナセル・アブドルザラクに使者を送り、新しい隠れ家を用意するように命令した。
すぐに移動せねば・・・。屋敷の者にも荷物を整理するように命じた。アメリカ軍がここへ攻めてくるのも時間の問題だ。ビンラディンの態度の変化をつぶさに感じた側近の一人は、「屋敷の警備を固めますか?」と尋ねた。
「いや、急に警備を固めたら、むしろ、私がここにいることを証明するようなものだ。皆には普段通りの生活をするように伝えろ」。
問題は、いつアメリカ軍が行動を移すかだ・・。パキスタン軍を主体とするならば、情報を掴んで、すぐに逃げることができる。空爆なら早いだろうが、領空飛行の許可を得るのに1週間はかかるだろう。
特殊部隊が襲撃に来る・・・? それは無理だ。
アフガニスタンから、パキスタン軍のレーダーを避けて飛んでくることができるわけがないし、そんなことをすれば、重大な主権侵害だ。アメリカは世界中から非難されるに決まっている・・・。
アフガニスタン キャンプ・アルファ
ネプチューン・スピアー作戦が開始されてから、カポスのバラックが総司令部となり、たくさんのモニターやコンピューターが運び込まれ、工作員が活動を始めた。カタカタとキーボードを叩く音だけが響き、モニターにさまざまな情報が表示されている。
「タレクの衛星携帯電話の微弱電波がなくなりました」。
工作員の一人が報告した。この報告に、カポスとチャーリーは、顔を見合わせた。ビンラディンに、こちらが追跡していることがバレた・・・。
「すぐに襲撃部隊を出動させろ」。チャーリーが叫んだ。
キャンプ内のシールズたちが待機している倉庫のサイレンが鳴った。いつものように訓練開始の合図である。隊員たちは、いつものようにテキパキと装備を身に付け、ヘリポートへ向かう。しかし、いつもと違うことが1つあった。
倉庫の入口で、ダンハム大尉が怒鳴っている。
「今日は訓練じゃない。実戦だ。弾丸を多めに持ってゆけ!!」
襲撃部隊のチーム6全員がヘリに乗り込むと、ヘリは、すぐに飛び立った。チームの全員が、ダンハム大尉の「実戦」の言葉の意味を考えていた。そこへ、隊長のダンハム大尉から無電が入った。
「ダンハム大尉からチームメンバーへ。本日は訓練ではない。実戦である。作戦名はネプチューン・スピアー」。
「作戦目的は、人質救出ではない。アルカイダの首領、オサマ・ビンラディンの殺害である。全員、気を引き締めろ」。
「繰り返す。作戦目的は、ビンラディンの殺害である。たとえ、奴が背を向けて逃げても、降伏を申し出ても射殺しろ。屋敷内にはビンラディンの家族もいる。女子供でも作戦の障害となるなら射殺せよ。これより、ビンラディンをジェロニモと呼ぶ。各員、注意せよ」。
チームの一同、顔を見合わせた。キャンプ・アルファに来て以来、特殊な作戦を行うと思っていたが、まさかビンラディンの殺害とは・・・。誰もが予想していなかった。
「作戦は、当初の予定通り、屋上と地上の二手に分かれて行う。訓練通りにすれば、絶対に成功するぞ」。
母屋の襲撃チームのリーダー、トロイ・ロバーツ軍曹は、目を閉じてダンハム大尉の訓示を聞いていた。ついに、この日が来た。結局、最後まで内部の様子が分からなかった。
突入後、物陰からナイフで切りつけられるかもしれない。背後から撃たれるかもしれない。いろいろなことが頭を巡った。最後には、妻ブリタニーの顔を思い浮かべた。必ず生きて帰る・・・。そう、心に誓った。
アボタバード ビンラディンの屋敷
ビンラディンは、その夕食を、普段通りに家族とともにとった。妻、息子、孫、一家揃っての楽しい団らんであった。その場所から、わずか数メートルのところで、タレクの妻と娘が陵辱され、拷問を受けていることなど、全く気にしていない。
夕食を終えると、3階の寝室へ入り、そのままベッドに横になった。
落ち着け・・・。アメリカ軍はすぐには攻めて来ない。最近のアメリカは、くだらん個人主義やマスコミ世論を気にして、何をするにも時間がかかる国家になった。たとえ、今夜、私がここに居ることがバレても、すぐには、状況は変わらない。
今まで、そうやって逃げてきた。明日は警察署長のナセルを呼びつけ、家族だけでも避難させよう。やがて、ビンラディンは眠りに落ちた。
次回更新は、1月1日「ネプチューン・スピアー」です。
ご意見・ご感想をお待ちしております。

それはさておき・・・
まぁ、あんまりたいしたことではないんですが、
年末の31日、コミックマーケットに参加致します。
でも、間借り参加なので、あんまり本をもってゆきません。
一応、ブース番号は、東地区 U-09Bです。
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同人誌も発行しております。こちらもどうぞ。同人誌書店COMIC ZIN通販ページと 虎の穴通販ページに飛びます。(購入には会員登録が必要です。)





私の訳書(共訳・監修)です。よろしかったらお読みください。
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すぐに移動せねば・・・。屋敷の者にも荷物を整理するように命じた。アメリカ軍がここへ攻めてくるのも時間の問題だ。ビンラディンの態度の変化をつぶさに感じた側近の一人は、「屋敷の警備を固めますか?」と尋ねた。
「いや、急に警備を固めたら、むしろ、私がここにいることを証明するようなものだ。皆には普段通りの生活をするように伝えろ」。
問題は、いつアメリカ軍が行動を移すかだ・・。パキスタン軍を主体とするならば、情報を掴んで、すぐに逃げることができる。空爆なら早いだろうが、領空飛行の許可を得るのに1週間はかかるだろう。
特殊部隊が襲撃に来る・・・? それは無理だ。
アフガニスタンから、パキスタン軍のレーダーを避けて飛んでくることができるわけがないし、そんなことをすれば、重大な主権侵害だ。アメリカは世界中から非難されるに決まっている・・・。
アフガニスタン キャンプ・アルファ
ネプチューン・スピアー作戦が開始されてから、カポスのバラックが総司令部となり、たくさんのモニターやコンピューターが運び込まれ、工作員が活動を始めた。カタカタとキーボードを叩く音だけが響き、モニターにさまざまな情報が表示されている。
「タレクの衛星携帯電話の微弱電波がなくなりました」。
工作員の一人が報告した。この報告に、カポスとチャーリーは、顔を見合わせた。ビンラディンに、こちらが追跡していることがバレた・・・。
「すぐに襲撃部隊を出動させろ」。チャーリーが叫んだ。
キャンプ内のシールズたちが待機している倉庫のサイレンが鳴った。いつものように訓練開始の合図である。隊員たちは、いつものようにテキパキと装備を身に付け、ヘリポートへ向かう。しかし、いつもと違うことが1つあった。
倉庫の入口で、ダンハム大尉が怒鳴っている。
「今日は訓練じゃない。実戦だ。弾丸を多めに持ってゆけ!!」
襲撃部隊のチーム6全員がヘリに乗り込むと、ヘリは、すぐに飛び立った。チームの全員が、ダンハム大尉の「実戦」の言葉の意味を考えていた。そこへ、隊長のダンハム大尉から無電が入った。
「ダンハム大尉からチームメンバーへ。本日は訓練ではない。実戦である。作戦名はネプチューン・スピアー」。
「作戦目的は、人質救出ではない。アルカイダの首領、オサマ・ビンラディンの殺害である。全員、気を引き締めろ」。
「繰り返す。作戦目的は、ビンラディンの殺害である。たとえ、奴が背を向けて逃げても、降伏を申し出ても射殺しろ。屋敷内にはビンラディンの家族もいる。女子供でも作戦の障害となるなら射殺せよ。これより、ビンラディンをジェロニモと呼ぶ。各員、注意せよ」。
チームの一同、顔を見合わせた。キャンプ・アルファに来て以来、特殊な作戦を行うと思っていたが、まさかビンラディンの殺害とは・・・。誰もが予想していなかった。
「作戦は、当初の予定通り、屋上と地上の二手に分かれて行う。訓練通りにすれば、絶対に成功するぞ」。
母屋の襲撃チームのリーダー、トロイ・ロバーツ軍曹は、目を閉じてダンハム大尉の訓示を聞いていた。ついに、この日が来た。結局、最後まで内部の様子が分からなかった。
突入後、物陰からナイフで切りつけられるかもしれない。背後から撃たれるかもしれない。いろいろなことが頭を巡った。最後には、妻ブリタニーの顔を思い浮かべた。必ず生きて帰る・・・。そう、心に誓った。
アボタバード ビンラディンの屋敷
ビンラディンは、その夕食を、普段通りに家族とともにとった。妻、息子、孫、一家揃っての楽しい団らんであった。その場所から、わずか数メートルのところで、タレクの妻と娘が陵辱され、拷問を受けていることなど、全く気にしていない。
夕食を終えると、3階の寝室へ入り、そのままベッドに横になった。
落ち着け・・・。アメリカ軍はすぐには攻めて来ない。最近のアメリカは、くだらん個人主義やマスコミ世論を気にして、何をするにも時間がかかる国家になった。たとえ、今夜、私がここに居ることがバレても、すぐには、状況は変わらない。
今まで、そうやって逃げてきた。明日は警察署長のナセルを呼びつけ、家族だけでも避難させよう。やがて、ビンラディンは眠りに落ちた。
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作戦終了 Over the Operation
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ついに作戦が発動しましたね。どんな作戦運びになるのか楽しみです。
質問なのですが、大阪で開催されるこみっくトレジャーには参加されますか?
コメントありがとうございます。
コミックとレジャーは、もちろん参加致します。
ブース番号は、5号館 キ-09bです。
よろしくお願いします。