2009年10月14日
最高戦略会議Supreme strategy meeting
2001年10月30日、最高戦略会議がタジキスタンのドゥシャンベで開かれた。会議には、トミー・フランクス中央軍司令官および反タリバン勢力の幹部が参加した。この程度の会議に中央作戦軍司令官であるフランクス大将が参加する必要はないのだが、アフガンの族長たちに、アメリカの「本気」を見せる必要があるため、はるばるアメリカ本国からやってきたのだ。
会議の前段でフランクス大将は、「我々はタリバン政権を倒す。そのため、皆さんのお力をお借りしたい。今日は、皆さんのご意見を頂きたい」と述べた。
会議は紛糾した。否、族長たちの一方的な意見が相次いだ。しかし内容といえば、「兵士に支払う金がない。援助してくれ」、「村に衛星テレビをつけろ」、「(自分の)子供をアメリカに無償で留学させて欲しい」など、戦略的意見というよりは陳情といった方が正しかった。もちろん、中央作戦軍司令官が聞く内容ではない。
フランクス大将は、この「最高」戦略会議のありさまに、本国での膨大な仕事を放り出してまで会議に来たことを後悔した。おそらく、彼のオフィスの机には、決裁すべき書類が山のように詰まれているに違いない。そう思うと、言いたい放題の族長たちに怒りが込み上げてきたが、ここで彼らを怒らせるわけにはいかないため、終始、笑顔で族長たちの「貴重な意見」にうなずいた。
いつ終わるとも知れない「会議」にしびれを切らしたフランクス大将は、「皆さんの意見、確かに受け賜りました。資金や物資など、当座、必要なものはすぐに送ります。それ以外は、戦争後に実現することをお約束します」。そう言うと、すぐに席を立ち、ヘリに飛び乗った。
帰りの機中、「奴らは金で釣っておけ。裏切らなければ、それでいい」。フランクス大将は、吐き捨てるように副官に言った。
次回更新は、10月21日 「トミー・フランクス」です。お楽しみに。
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会議の前段でフランクス大将は、「我々はタリバン政権を倒す。そのため、皆さんのお力をお借りしたい。今日は、皆さんのご意見を頂きたい」と述べた。
会議は紛糾した。否、族長たちの一方的な意見が相次いだ。しかし内容といえば、「兵士に支払う金がない。援助してくれ」、「村に衛星テレビをつけろ」、「(自分の)子供をアメリカに無償で留学させて欲しい」など、戦略的意見というよりは陳情といった方が正しかった。もちろん、中央作戦軍司令官が聞く内容ではない。
フランクス大将は、この「最高」戦略会議のありさまに、本国での膨大な仕事を放り出してまで会議に来たことを後悔した。おそらく、彼のオフィスの机には、決裁すべき書類が山のように詰まれているに違いない。そう思うと、言いたい放題の族長たちに怒りが込み上げてきたが、ここで彼らを怒らせるわけにはいかないため、終始、笑顔で族長たちの「貴重な意見」にうなずいた。
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作戦終了 Over the Operation
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ネプチューン・スピアー Neptune spear 7
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今回の記事も面白かったです。「原地民を怒ってはならない。」といった事は本などを読んで知っていましたが、大事な仕事を蹴ってまで来たのに会議のこの有様は辛いですね…(笑)
族長達にとって、タリバン政権を倒す重要度はそれほど高くなかったということでしょうか?
フランクス大将には、お気の毒だったと思います。
当時のアフガニスタンは、タリバンと北部同盟の2大勢力がありましたが、タリバンは、イスラム教を軸とした中央集権というか、本山末寺のようなまとまりがあったのに対し、北部同盟は、反タリバンという地方勢力の集まりといったほうが正しく、地方の族長は、自分の利益と立場が確保されれば、強いほうに味方するといった程度のものだったようです。
北部同盟で、最大軍閥を率いていたドスタム将軍(後述)でさえ、9・11テロ時点では、北部同盟とタリバンを天秤にかけていたようです。