2011年11月23日

友好的な村 The friendly village

翌朝、ODA574のメンバーは、カルザイの手引きにより、アメリカ軍に協力的な村へ移動した。本体とはぐれたテキサス3のメンバーも、分捕った車両を使って、各テキサスが隠匿した物資を回収して、村へ入った。

ジェイスン大尉は、カルザイとともに村長の家に入り、しばらく世話になる旨の挨拶をし、手土産として、村長にアメリカ製のダイバーズウォッチを渡し、村の住人には食料品や衣料品を配った。

ODA574のメンバーには、村長の家の離れがあてがわれた。CCTのダン、ウェス、アレックスの3名が、離れの二階で、無線やレーダーのセッティングをしていると、重大な、そして深刻なことに気がついた。この村には、安定した電源がないのである。

もちろん、CCT3人はアフガニスタンの田舎の村に、コンセントなどあるとは思っていなかったのだが、事前のブリーフィングでは、この村には、数年前にNPOが造った風力発電装置があって、安定して電力が供給されると聞いていたのである。しかし、村のどこを探してみても、風力発電の風車や発電機が見当たらなかった。

報告を受けたジェイスンは、村長に風力発電設備のことを尋ねた。すると村長は、3ヶ月前に激しい砂嵐があり、その際に風車が根元から折れ、発電装置も損傷したらしい。以来、村は電気無しの生活だという。「不便じゃないのか?」、ジェイスンが聞くと、「電気はラジオを聴くのに必要なだけで、べつに無くてもいい」。村長は平然と答えた。

ジェイスンが離れの2階に戻り、CCT3名に、このことを伝えると、「大尉、安定電源が無ければ、このレーダーや無線設備は、3日で使えなくなります」。

ジェイスンは、カブール近郊の秘密基地にいるクリス少佐に、(電力を節約しながら)無線で報告した。「発電機なら、こっちにいくらでもあるが、そこまで運ぶ手段が無い。なんとか風力発電を修理してくれ」。クリス少佐も、困りきった返答だった。

「アメリカ人は、電気がないと戦争ができないのか?大変だな」。アシモフはのんきに言った。相変わらずムカつく親父だと、ジェイスンは睨み返してやった。とはいえ、アシモフが言ったことも本当のことであり、風力発電を修理することにした。

幸い、発電機自体はさほど損傷しておらず、風を受ける風車とそれを支えるやぐらを作れば何とかなりそうであった。ODA574と村人総出で材木からプロペラを削りだし、やぐらを組んで、風車を再建した。

何とか安定した電源を確保できたものの、無線とレーダーを動かすのが精一杯で、GPSやナイトビジョンなどの個人装備の充電まではできなかった。

「とりあえず、第1ステージはクリアだな」。ジェイスンは、CIAのキャスパーに言った。キャスパーはうなずくと、「では、第2ステージへ移ろう」。

ODA574の第2ステージとは、この村の付近で300名ほどの部隊を作り、南部の反タリバン勢力の基幹とすることである。手始めに、この村の若者30名の軍事教練から行うことにした。


次回更新は、11月30日 「タリバン偵察部隊」です。お楽しみに。
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Posted by 友清仁  at 07:01 │Comments(0)Story(物語)

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